ノロウイルス感染症| Norovirus Infection
感染経路と予防
アサリやカキなどの貝類はノロウイルスに汚染された水を効率的に濃縮し、それを摂食することで感染する。ノロウイルスのヒトからヒトへの感染の主な経路は糞便や嘔吐物を介した糞口感染である。
医療機関では接触予防策で対応する。アルコールに抵抗性であるため流水と石鹸による洗浄が必要である。また、環境の消毒には次亜塩素酸ナトリウムを使用する。
病態
ノロウイルスはカリシウイルス科に属するノンエンベロープウイルスである。健康なボランティアによる研究では空腸の絨毛に変化を認め下痢を生じていると考えられているが、詳細なメカニズムは不明である。
感染後12~48時間の潜伏期間を経て急激な水溶性下痢を伴う嘔吐で発症し、半数程度に38度程度の発熱を認めるが、一般的に症状は48~72時間持続し後遺症なく寛解する。
診断・治療
糞便中のノロウイルスを検査する抗原検査キットがあり、3歳未満、65歳以上等を対象に健康保険が適用されている。
行政機関等では核酸検出検査としてRT-PCR法等が一般的に用いられてきたが、近年では臨床現場でもマルチプレックスPCR法が利用できるようになった。特異的治療法はなく脱水を来さないように十分な水分摂取を行うことが主な治療となる。
止痢薬や制吐剤についての有効性は確立されておらず今のところ止痢薬や制吐薬は推奨されない。
出典
・Centers for Disease Control and Prevention. Norovirus [Internet]. In: Travelers' Health: Yellow Book; 2020 [cited 2023 Mar 20].Available from: https://wwwnc.cdc.gov/travel/yellowbook/2020/travel-related-infectious-diseases/norovirus ・日本感染症学会. ノロウイルス感染症 [Internet]. [cited 2023 Mar 20].
Available from: https://www.kansensho.or.jp/ref/d50.html ・国立感染症研究所. ノロウイルス感染症 [Internet]. [cited 2023 Mar 20].
Available from: https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/452-norovirus-intro.html
このサイトの執筆者一覧
植田 秀樹,大川 直紀,大塚 喜人,窪田 佳史,倉澤 勘太,津山 頌章,中尾 仁彦,藤井 元輝,松田 直也