旋尾線虫症| Spirurida infection

感染経路と予防

ツチクジラの腎臓に寄生する線虫 Crassicauda giliakianaの幼虫が旋尾線虫X型である。幼虫はホタルイカの内臓に寄生し、これを生食することで感染する。

予防は、ホタルイカの生食を避けることである。生食を行う場合は−30℃以下で4日以上凍結するか、内臓を処理することが重要である。また生食以外の場合は内部温度60℃以上の調理が推奨されている。

病態

本寄生虫はヒトを固有宿主としないためこの寄生虫の幼虫がヒトに侵入した場合、成虫には発育できずに幼虫のまま体内を移動し、さまざまな症状を惹き起こす幼虫移行症を起こす。

皮膚爬行症型はホタルイカ摂食後2週間前後の発症が多く、腹部から始まる線状の皮疹は1日2~7cm伸長すると言われている。急性腹症型は腸壁が肥厚して腸閉塞として手術適応になるものと、麻痺性イレウス症状を呈して対症療法で軽快するものがある。

診断・治療

3〜8月に生鮮ホタルイカを内臓ごと摂食した病歴が重要である。皮膚爬行症では、皮膚組織の採取と病理による虫体断端を証明することで診断することができる。

皮膚爬行症は外科的切除が治療となるが、切除できなくても2ヶ月以内に皮疹は改善する。急性腹症型の場合は手術や対症療法を行う。

出典

旋尾線虫症とは [Internet]. 国立感染症研究所. 2001 [cited 2023 Mar 22]. Available from:
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/431-spiruria-intro.html

このサイトの執筆者一覧

植田 秀樹,大川 直紀,大塚 喜人,窪田 佳史,倉澤 勘太,津山 頌章,中尾 仁彦,藤井 元輝,松田 直也

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