コレラ| Cholera

感染経路と予防

Vibrio choleraeはしばしば動物プランクトンと関連して汽水域の河口や沿岸に存在する。 Vibrio choleraeが存在する汽水域の水を摂取したり、自然界で汚染されたり感染者の糞便で汚染された水や食物を摂取したりすることによって感染する。

日本で感染することは少なく、ほとんどの患者は流行地で感染している。そのため、予防として流行地で生水、生食品を摂取しないことが重要である。不活化経口ワクチンがあり流行地へ渡航する場合はワクチン接種が推奨される。院内では接触感染対策を行う。

病態

V. choleraeはオキシダーゼ陽性の通性嫌気性グラム陰性桿菌である。運動性があり極単毛の鞭毛をもつ。菌体表面のO抗原に基づき200以上の血清型に分類される。このうちコレラを起こすのはO1、O139のみである。

感染後1日の潜伏期間を経て水様性下痢を認める。多くは軽度または無症候性であるが重症になることもあり、重症患者では1時間に1リットル以上の下痢を呈することもある。下痢は進行すると徐々に腸内物が認められることから透明となり、魚の匂いのする白濁した、いわゆる米の研ぎ汁様の便となる。

診断・治療

患者の便からコレラ毒素を産生するO1 またはO139 血清型のV. choleraeを検出することによって診断する。

治療の基本は水分摂取である。WHOは塩化ナトリウム3.5g 、塩化カリウム1.5g 、グルコース20g 、重炭酸ナトリウム2.5 g を1 リットルの水に溶かした経口補水液の摂取を推奨している。抗菌薬の投与は水分の必要量と罹病期間を短縮する。成人はドキシサイクリンが第一選択となり妊婦と子供はアジスロマイシンが推奨されている。

出典

Centers for Disease Control and Prevention. Travelers' Health: Yellow Book; Chapter 3. Travel-Related Infectious Diseases; Cholera [Internet]. 2020 [cited 2023 Mar 22]. Available from:
https://wwwnc.cdc.gov/travel/yellowbook/2020/travel-related-infectious-diseases/cholera

国立感染症研究所. コレラ[Internet]. [cited 2023 Mar 22]. Available from:
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/402-cholera-intro.html

このサイトの執筆者一覧

植田 秀樹,大川 直紀,大塚 喜人,窪田 佳史,倉澤 勘太,津山 頌章,中尾 仁彦,藤井 元輝,松田 直也

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