下痢原生大腸菌感染症| Diarrheagenic E. coli infection
感染経路と予防
"下痢原性大腸菌 (腸管病原性大腸菌、腸管侵入性大腸菌、腸管出血性大腸菌、毒素原生大腸菌と腸管凝集性大腸菌) に汚染された食物や飲料水を摂取することで感染する。また、感染した動物やヒトの糞便に触れた手を介して経口的に感染する。
予防には、食事や調理の前や排便後やオムツ交換後に流水と石鹸で手を洗うことが重要である。また食品は調理前によく洗い、十分に加熱する。水道水以外の水を飲用あるいは調理に使用する場合は、必ず年1回以上の水質検査を受け、飲用に適しているか否かを確認する。
"
病態
大腸菌はヒトや動物の腸管に存在し、多彩な性質を持っている。その多くは病原性をもたないが、いくつかの大腸菌はヒトに対して病原性があり下痢原性大腸菌と呼ばれている。
それらは病原性に基づき腸管毒素原性大腸菌、腸管病原性大腸菌、腸管侵入性大腸菌、腸管凝集性大腸菌、腸管出血性大腸菌に分類される。
中でも腸管出血性大腸菌(志賀毒素産生性大腸菌)はベロ毒素を産生し、出血性腸炎や溶血性尿毒症症候群 (HUS)を起こすことがある。一般的な症状としては、腹痛、嘔吐、下痢(血性のこともある)、発熱、頭痛である。
診断・治療
"診断は患者の糞便や原因食品から大腸菌を分離し、その生化学的性状や血清型を調べ、その病原因子を精査する。培養検体を用いて遺伝子検査を行う。
下痢原性大腸菌感染症に対する治療は、脱水症状に対して経口補水液または点滴で水分や電解質を補給する対症療法である。
特に下痢原性大腸菌感染症の中で腸管出血性大腸菌は、米国感染症学会の感染性下痢症のガイドラインにおいて、抗菌薬治療は推奨されておらず、また止痢薬使用もHUS発症を高める可能性があり、使用を避けることが推奨されている。
"
出典
CDC E. coli
https://www.cdc.gov/ecoli/index.html
国立感染症研究所 下痢原生大腸菌感染症とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/399-ecoli-intro.html
東京都福祉保健局 その他の下痢原生大腸菌
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/shokuhin/micro/geri.html
このサイトの執筆者一覧
植田 秀樹,大川 直紀,大塚 喜人,窪田 佳史,倉澤 勘太,津山 頌章,中尾 仁彦,藤井 元輝,松田 直也