細菌性赤痢| Shigella infection
感染経路と予防
細菌性赤痢は赤痢菌(Shigella spp.)に汚染された食物や飲料水を摂取することで感染する。また赤痢菌に感染した動物やヒトの糞便に触れた手を介して経口的に感染する。
菌性赤痢の予防には、食事や調理の前や排便後やオムツの交換後に流水と石鹸で手を洗うことが重要である。感染流行地域に渡航した際は、生水や水道水の飲水は避け、ペットボトルで販売されているミネラルウォーターを飲むようにする。
やむを得ず生水や水道水を飲用する場合は必ず加熱してから飲むようにする。食品は調理前によく洗い、十分に加熱してから食べるようにする。
病態
細菌性赤痢は赤痢菌によって惹き起こされる感染症である。Shigella属には4菌種あり、各菌種はさらに細分化される。感染力が極めて強く、少量の菌でも感染する。
経口摂取された赤痢菌は大腸の上皮細胞に侵入した後、周囲の細胞に再侵入を繰り返す。これにより大腸の上皮細胞の壊死、脱落が起こり、血性下痢の症状をきたす。
細菌性赤痢の症状は、全身の倦怠感、悪寒を伴う急激な発熱、水様性下痢を呈する。発熱は1〜2日続き、腹痛、しぶり腹、膿粘血便などの赤痢症状が出る。
診断・治療
細菌性赤痢の診断は、患者の糞便から赤痢菌を検出することである。便検体を培養し赤痢菌を分離する。他に迅速診断法として核酸検出検査がある。
細菌性赤痢の治療は対症療法と抗菌薬療法がある。 対症療法は脱水症状に対して経口補水液または点滴で水分や電解質を補給する。止痢薬は症状を悪化させる可能性があり使用しない。抗菌薬治療は症状がある患者、または、食品を扱う職業に就いている患者で適応となる。
治療にはニューキノロン系抗菌薬を通常3〜5日間投与する。患者が食品を扱う職種であれば、治療終了後に糞便の培養検査を行い、陰性化を確認する。
出典
CDC Shigella-Shigellosis
https://www.cdc.gov/shigella/index.html
国立感染症研究所 細菌性赤痢とは
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/410-giardia.html
このサイトの執筆者一覧
植田 秀樹,大川 直紀,大塚 喜人,窪田 佳史,倉澤 勘太,津山 頌章,中尾 仁彦,藤井 元輝,松田 直也