クリプトスポリジウム症| Cryptosporidiosis

感染経路と予防

クリプトスポリジウムに汚染された食物や飲料水を摂取することで感染する。

また、プールや湖、川などで泳いでいる間に汚染された水を飲み込むことでも感染する。感染力は強く、また水道水等に用いられる塩素消毒に抵抗性である。

予防には、生水や水道水の飲水は避け、ミネラルウォーターや加熱したものを飲水する。食品は調理前によく洗い、十分に加熱してから摂取することである。院内感染対策としては食事や調理の前や排便後やオムツの交換後に流水と石鹸で手をあらうことが重要である。

病態

クリプトスポリジウム症は、クリプトスポリジウムという原虫によって惹き起こされる感染症である。

クリプトスポリジウムが付着した食物や水をヒトが飲み込み、そして、飲み込まれたクリプトスポリジウムが腸管上皮細胞に侵入することで起こる。

主な症状は下痢(水様性下痢)で、排便回数は1日数回〜20回以上と様々である。免疫正常者では数日〜数週間持続し自然治癒するが、小児や免疫不全者では慢性下痢症の原因となり、特にHIV/AIDS患者では重症・難治性の下痢症、また胆嚢や胆管炎などの原因となることがある。

診断・治療

クリプトスポリジウム症は、糞便を検査しオーシストと呼ばれる状態のクリプトスポリジウムを確認することで診断される。蛍光抗体法を用いた市販の染色キットがあるが、日本では保険適応外である。

クリプトスポリジウム症の治療は、軽症では対症療法が中心で、下痢による脱水に対して経口補水液や点滴での補正を行う。

HIV/AIDS患者などの免疫不全患者では重症化の可能性があるため、保険適応外であるがパロモマイシンなどの抗菌薬で治療を行うことがある。

出典

CDC Parasites - Cryptosporidium (also known as "Crypto")
https://www.cdc.gov/parasites/crypto/

国立感染症研究所 クリプトスポリジウム症とは 
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/396-cryptosporidium-intro.html

このサイトの執筆者一覧

植田 秀樹,大川 直紀,大塚 喜人,窪田 佳史,倉澤 勘太,津山 頌章,中尾 仁彦,藤井 元輝,松田 直也

川魚
この感染症の由来は?

井戸水・湧水 - Well Water

地下水は見かけによらず感染症のリスクがあります。細菌、ウイルス、寄生虫が混入することがあります。大腸菌やカンピロバクター、ノロウイルスの感染源にもなり得ます。定期的な検査と適切な処理が重要です。安全な水利用を心がけましょう。