クリプトコッカス症| Cryptococcosis

感染経路と予防

クリプトコッカスは酵母様真菌と呼ばれる「カビ」の一種で、パン酵母も酵母様真菌の一つである。クリプトコッカスは元々腐敗した樹木や土壌に生息しており、ハトなどの糞の中で増殖し、それをヒトが吸い込むことで人体に侵入する。

細胞性免疫低下がリスク因子で、肺に病変をつくる。免疫抑制薬などを使用しているときは、ハトの糞が堆積している所に近づかないことが重要である。

病態

肺に侵入したクリプトコッカスは肺に病変を形成する。肺クリプトコッカス症は健常人では無症状か、あっても咳や痰など軽微な症状しか示さないことが多い。

肺から血液の中に侵入し、中枢神経に病変を作ることもある。中枢神経病変の多くは髄膜炎である。細胞性免疫障害がリスクとなるが、明らかな免疫不全が確認できない症例もある。

診断・治療

検査診断には鏡研、培養、抗原検査による方法がある。髄液の墨汁法は髄液などの検体と墨汁を混合して鏡研をすることで、分厚い莢膜に包まれた円形の酵母を見ることができる。

髄液または血清の抗原検査は非常に正確で90%以上の感度と特異度を有する。治療は髄膜炎に大使してはリポゾーマルアムホテリシンBの静注と5FCの経口を併用する。治療期間は6~12ヶ月と長期間行う必要がある。

出典

John E. Bennett, Raphael Dolin, Martin J. Blaser. (2019). Mandell, Douglas, and Bennett's principles and practice of infectious diseases. Philadelphia, PA :Elsevier/Saunders,

このサイトの執筆者一覧

植田 秀樹,大川 直紀,大塚 喜人,窪田 佳史,倉澤 勘太,津山 頌章,中尾 仁彦,藤井 元輝,松田 直也

犬
この感染症の由来は?

- Bird

鳥は鳥インフルエンザや、サルモネラ、クリプトコッカスなどの病原体のホストとなります。これらの感染症は、鳥と直接接触したり、感染した鳥の糞や排泄物に触れることで人に伝播します。