鳥インフルエンザ| Avian Influenza
感染経路と予防
鳥インフルエンザは元々野生の鳥の間で保持され、これが家禽と接触することで、家禽が無症候性に保持したり、感染して死亡したりする。
ヒトへの感染は、その家禽と濃厚に接触する畜産業や市場などで発生することが報告されている。ヒトからヒトへの感染は非常に限定的であるが、有症状者と長時間密に接することで感染しうる。
予防のためには、野鳥との接触を避け、体調の悪そうな鳥や死んでいる鳥に触らないこと、また家禽に対しても不必要な際は接触しないことが重要である。
病態
本来ヒトに感染するウイルスではなく、鳥から濃厚な曝露を受けた場合に偶発的に感染が生じることが報告されている。
ごく稀に家族などの濃厚な接触により、ヒト-ヒト感染した事例も報告されている。”高病原性”とは鳥に対しての表現であり、ヒトに対して病原性が高いという意味ではない。
高病原性鳥インフルエンザはウイルス表面の糖タンパク質のタイプからH5N1とH7N9の2つが代表であり、症状は季節性インフルエンザと変わらず発熱と呼吸器症状などであるが、死亡率0.1%程度とされる季節性インフルエンザと比べて、H5N1とH7N9の死亡率はそれぞれ50%、40%程度と高い。
診断・治療
診断については、症状が非特異的なため臨床的に疑うことが最も重要である。病歴で、最近の流行地での鳥への曝露や生きた鳥を扱う市場に行ったか、鳥インフルエンザが疑われるヒトとの接触があったかなどを聴取する。
疑わしければ保健所に連絡し、核酸検出検査を行なって診断する。治療はH5N1またはH7N9に対してオセルタミビルを早期に投与した時に生存率が改善したという観察研究が報告されている。
出典
Infect Dis Clin N Am 33 (2019) 907–932このサイトの執筆者一覧
植田 秀樹,大川 直紀,大塚 喜人,窪田 佳史,倉澤 勘太,津山 頌章,中尾 仁彦,藤井 元輝,松田 直也