Aeromonas hydrophila感染症| Aeromonas hydrophila Infection
感染経路と予防
Aeromonas hydrophilaに感染した淡水魚(ナマズやバス、熱帯魚等)や汚染された水(水槽やプール等)の摂取、感染した魚との直接の接触、汚染された水への傷口の接触で感染する。
魚類の食品の22%からA. hydrophilaが分離された報告もあるが、食品関連のアウトブレイクはほとんど報告されていない。汽水や土壌への暴露も感染の原因となる。
予防は、A. hydrophila に汚染されている可能性がある淡水で泳いだり、傷を汚染された水に暴露させることを避けるのが重要で、魚を扱ったり汚染された水で作業する場合は、保護用の手袋や衣服を着用する。
病態
A. hydrophilaに汚染された食品を経口摂取すると、急性腸炎を起こし、下痢、嘔吐、腹痛、発熱、吐き気、倦怠感が出現する。
傷口のある皮膚が汚染された淡水に暴露されると48時間以内に皮膚軟部組織感染症を発症し、壊死性筋膜炎や骨髄炎に進展することもある。
その他、胆道感染症や、肝硬変患者では細菌性腹膜炎、溺水関連では肺炎、コンタクトレンズ使用者の角膜炎が報告されている。
診断・治療
創部培養や血液培養で同定する。急性腸炎の際は、水分補給などの支持療法で改善するが、重度の下痢や免疫抑制患者の際は、抗菌薬が有効な場合がある。
創傷感染や菌血症の際は、抗菌薬投与が必要である。抗菌薬はシプロフロキサシンや三世代以上のセファロスポリンが有効である。アンピシリンや第一世代セファロスポリンにはしばしば耐性を示す。
治療期間は定まっていないが、急性腸炎では3日間、創傷感染では7〜10日間、菌血症では2週間治療することが一般的である。
出典
Vet Q. 2022 Dec;42(1):95-118. Front Microbiol. 2022 May 31;13:868890. Mandell, Douglas, and Bennett's Principles and Practice of Infectious Diseases 9th edition, Other Gram-Negative and Gram-Variable Bacilli, p2847-2864.このサイトの執筆者一覧
植田 秀樹,大川 直紀,大塚 喜人,窪田 佳史,倉澤 勘太,津山 頌章,中尾 仁彦,藤井 元輝,松田 直也