日本紅斑熱| Japanese Spotted Fever
感染経路と予防
日本紅斑熱はRickettsia japonicaという病原微生物(リケッチア)が原因の感染症である。リケッチアを持つマダニが哺乳動物を吸血することで哺乳動物が保菌または感染する。
保菌したシカをマダニが吸血しR. japonicaを獲得し、さらにヒトを吸血することでヒトに感染する。
予防はマダニの吸血を防ぐために、草むらに立ち入らない、肌を露出させない、虫除け剤を使用するなどポイントである。
病態
発熱、皮疹、ダニの刺し口(痂皮)が三徴であり、同じリケッチア症であるツツガムシ病と類似した症状を呈する。2~8日の潜伏期を経て、頭痛や38.5℃以上の発熱、全身倦怠感で発症する。
全身性の皮疹が出現する点もツツガムシ病と同様だが、皮疹は四肢に優位な傾向があり、手掌・足底にも認めることがツツガムシ病と異なる特徴的である。
診断・治療
日本紅斑熱はツツガムシ病より発生地域が限られている。西日本と関東、東海の一部に、マダニの活動期である4月から10月に発生する。
診断は疫学的な状況を考慮して、病態に示した症状があれば、ペア血清による抗体価測定または、刺し口の痂皮を検体とした核酸検出検査によって診断する。
治療が遅れると重症化し、死亡例もあることから、診断確定を待たずに疑った時点でテトラサイクリン系の抗菌薬による治療を開始する。
出典
・小川基彦. “日本紅斑熱とは” 国立感染症研究所. https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/448-jsf-intro.html (アクセス2023-02-25) ・Emerg Infect Dis. 1997 Apr-Jun;3(2):105-11.このサイトの執筆者一覧
植田 秀樹,大川 直紀,大塚 喜人,窪田 佳史,倉澤 勘太,津山 頌章,中尾 仁彦,藤井 元輝,松田 直也