猫ひっかき病| Cat scratch disease
感染経路と予防
B. henselae はネコに引っかかれた傷、またはネコノミの糞に含まれる菌が傷から侵入することで感染する。
特に1歳未満のネコの保菌率が高く子猫からの感染が多い。予防にはネコへの感染の蔓延を防ぐことが最も重要で、屋内での飼育やノミの駆除が重要である。また、ネコに引っかかれないようにすることも重要である。
病態
猫ひっかき病はB. henselaeが主な起因菌で、小児に多いが成人にも見られる。暴露から3~10日後に菌の侵入部位付近に丘疹や膿疱が出現し、約3週間後に疼痛を伴う所属リンパ節腫脹を起こす。
高齢者では典型的なリンパ節腫脹の頻度が低下する。肝臓・脾臓の肉芽腫性病変やParinaud眼球腺症候群 (結膜炎や耳周囲のリンパ節腫脹)、感染性心内膜炎や脳炎、不明熱などの原因になる。
診断・治療
猫ひっかき病では、急性期と回復期血清での血清学的検査や生検検体の核酸増幅法で診断する。培養は感度が低く2~6週間かかる。Warthin-Starry鍍銀染色でリンパ節の菌体を確認する方法もある。
リンパ節炎のみの場合には自然治癒することもあるが、有症状期間の短縮や合併症予防のためにアジスロマイシン投与が推奨される。
Bacillary angiomatosisや肝臓・神経病変ではドキシサイクリンまたはエリスロマイシン、感染性心内膜炎ではドキシサイクリン+ゲンタマイシンが第一選択である。
出典
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