E型肝炎| Hepatitis E
感染経路と予防
E型肝炎は豚の生レバーを介する感染が報告されており、イノシシ肉からの感染も報告されている。発展途上国ではA型肝炎と同様に糞便中に排出されたE型肝炎ウイルスに汚染された食物や水を介して経口感染することが一般的である。
まれに輸血、母子感染なども感染経路となる。予防はシカやイノシシなどの野生動物の肉、豚レバーをはじめとする豚肉などを生で食べない、十分に加熱して食べることが重要である。E型肝炎の流行地域では、汚染された飲食物を摂らないように注意する。
病態
潜伏期間は感染後15~60日前後(平均6週間)と比較的長く、感染しても大半のケースでは無症状か軽微な症状で軽快するとされるが、稀に劇症肝炎を発症する。
特に流行地域では妊婦で致死率が20%以上になるという報告もあり,注意が必要である。主な症状には発熱、倦怠感、筋肉痛、腹痛、皮疹などがあり、検査所見では肝逸脱酵素上昇、ビリルビン上昇、肝腫大などがある。
診断・治療
加熱不十分な野生動物の肉を食べたあとで肝障害と発熱がある場合などにE型肝炎を疑う。我が国ではIgA-HE抗体が唯一保険収載された検査法である。
一回の採血による単独血清で診断し、急性期の血清診断法としてIgM抗体よりも診断特性に優れるとの報告がある。大学などの研究期間ではHEV RNAの検出も行われる。
治療については、特異的な治療は存在せず,基本的には対症療法であるが,重症化した場合には、さらに血漿交換、肝移植などの治療を考慮する。
出典
UpToDate: Hepatitis E virus infection This topic last updated: Aug 23, 2021.
https://www.cdc.gov/hepatitis/hev/hevfaq.htm#section5
https://www.kansensho.or.jp/ref/d03.html
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/319-hepatitis-e-intro.html
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植田 秀樹,大川 直紀,大塚 喜人,窪田 佳史,倉澤 勘太,津山 頌章,中尾 仁彦,藤井 元輝,松田 直也