リステリア症| Listeriosis

感染経路と予防

リステリア症は、通常、細菌Listeria monocytogenes(リステリア) に汚染された食品を食べることによって惹き起こされる感染症である。

リスクの高い食品にはデリカテッセン(惣菜店)で売られている食品や、すぐに食べられるように加工された肉製品(調理済み肉製品、生ハム、ソーセージなど)、ソフトチーズ、魚介類の低温スモーク製品などがある。

リステリアは冷蔵庫内でも増殖するため、食品は期限内に(開封後は速やかに)食べるよう心がけることが予防につながる。また、リステリアは加熱により死滅するので、加熱して食べることも有効である。 妊婦、高齢者、または HIV/AIDS、白血病、癌、腎臓移植、ステロイド療法などにより免疫力が低下しているヒトは、重度のリステリア症にかかるリスクが高いため、リステリアに汚染されているリスクの高い食品を避ける必要がある。

病態

"リステリア症は大きく分けて、非侵襲性リステリア症と侵襲性リステリア症の2種類がある。

非侵襲性リステリア症は、健康なヒトが発症する胃腸炎である。

症状は発熱、下痢、頭痛、筋肉痛などである。侵襲性リステリア症は、さらに重篤な病態であり、妊婦、高齢者、または HIV/AIDS、白血病、癌、腎臓移植、ステロイド療法などにより免疫力が低下しているヒトに起こる疾患であり、急性胃腸炎だけでなく、敗血症や髄膜炎に進展し死亡率は20~30%に至る。"

診断・治療

リステリア症は通常、血液、髄液、胎盤などの体組織や体液からリステリアを分離することで診断する。

一般的には、健康な成人に発症する胃腸炎は、抗菌薬の投与を必要とせず自然に治癒する。

一方重症な患者や重症化リスクのある患者(妊婦や新生児、65歳以上の成人、免疫力が低下しているヒトなど)で抗菌薬の投与が必要である。治療にはペニシリンGまたはアンピシリンが使用される。

出典

国立感染症研究所.“リステリア・モノサイトゲネス感染症とは”
https://www.niid.go.jp/niid/ja/kansennohanashi/525-l-monocytogenes.html

WHO.“Listeriosis”
https://www.who.int/news-room/fact-sheets/detail/listeriosis

CDC.“Listeria (Listeriosis)”
https://www.cdc.gov/listeria/index.html

厚生労働省 リステリアによる食中毒
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000055260.html

このサイトの執筆者一覧

植田 秀樹,大川 直紀,大塚 喜人,窪田 佳史,倉澤 勘太,津山 頌章,中尾 仁彦,藤井 元輝,松田 直也

デリカッセン
この感染症の由来は?

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加工肉はリステリア、サルモネラ、カンピロバクターなどの細菌のホストになりえます。これらの細菌は製造過程で加工肉に汚染され、適切な調理や保存が行われない場合、人間に感染するリスクがあります。