第20回日本うつ病学会総会
会長 鈴木 映二
東北医科薬科大学 医学部 精神科学教室 教授
このたび第20回日本うつ病学会を開催させていただくにあたり、ご挨拶申し上げます。
今回のテーマは「うつ病、双極性障害と共存する社会を目指して」といたしました。新型コロナウイルス感染症、ウクライナ情勢、北朝鮮問題など多くの国内外の問題を抱え、人々が明るい未来図を描きにくくなっている現在において、うつ病、双極性障害はより身近な存在となっています。しかし、社会は依然として、それらの疾患とうまく共存できていないように思われます。それどころか、過去の魔女裁判、ホロコーストなど、不安定な社会情勢が真っ先に矛先を向けるのが弱者である精神障害者であることを歴史が物語っています。人々の心が不安定になりがちな今でこそ、私たち精神医療に携わる一人一人が当事者と手を取り合って、うつ病、双極性障害と共存する社会の実現に向けてリーダーシップを発揮すべきではないでしょうか。
多職種連携を重視する本学会において、様々な職種の専門家が、治療、基礎研究、社会支援など様々な面から、今回のテーマに関しての議論を進めていただけたらと思います。そのために、当事者の知恵をお借りすべく各団体の方にも参加していただく予定でおります。もちろん、本テーマに限らず、様々な観点からのご発表も大歓迎です。
杜の都仙台は、夏も涼しく快適にお過ごしいただけると思います。会場である仙台国際センターは、青葉城址のふもと広瀬川が近くを流れる緑豊かな環境にあります。加えて仙台駅まで地下鉄で5分(仙台空港から仙台駅は25分)と大変交通の便の良い場所に位置しております。ひとりでも多くの方々のご参加をお待ちしております。
第39回日本ストレス学会・学術総会
大会長 山本 賢司
東海大学医学部総合診療学系精神科学 教授
平素から日本ストレス学会に対し格別のご高配、ご支援を賜り厚く御礼申し上げます。
このたび、第39回 日本ストレス学会・学術総会を2023年7月21日(金)、22日(土)に仙台国際センター展示棟において開催させていただくこととなりました。今回のテーマは「ストレスによるこころの病とその対処」としており、昨今の不安定な世界情勢、COVID-19感染症およびその影響による生活・職場環境の変化、急速な景気の悪化に伴う雇用や所得情勢の悪化など様々なストレスによるこころの病について、幅広い領域の先生方に日頃の研究成果をご発表いただき、議論をしてまいりたいと思っています。ストレス科学は生理学を中心として発展してきた歴史がありますが、現代では人文科学、自然科学、社会科学など幅広い領域に跨って発展を続けています。今回のテーマであるこころの病についても、精神医学、心身医学的な視点以外に、その病因や病態に関しては生理学、生化学、分子生物学的知見の構築が重要と考えられますし、その対応については心理学、看護学、社会学的なアプローチが必要となります。様々な視点からストレス反応が関係するこころの病について議論し、そのメカニズムを明らかにすることや、有害な反応を軽減すること、そして、好ましい反応を社会に啓発していくことは、各領域を総合した学際的な視野のもとに、ストレスの問題に深く近代科学のメスを加え、新しい発想を模索する学際的研究団体である日本ストレス学会の目指すところであると考えています。
また、第39回日本ストレス学会・学術総会は第20回日本うつ病学会総会と同時開催をさせていただくこととなっており、日本うつ病学会総会ではストレスとも関係が深いうつ病や双極性障害などに関する多様な知見が供覧される予定となっています。日本ストレス学会・学術総会で供覧されるストレス科学に関する最新の知見と併せ、今後に向けた建設的な議論が深まることを期待しております。このような機会は、今後の医学やストレス科学の発展に繋がり、牽いては、より豊かで暮らしやすい社会の実現に還元されていくものと確信しております。
つきましては、本日本ストレス学会の趣旨にご賛同いただき、皆様のご協力を賜りたく是非ともお願い申し上げます。