第55回日本てんかん学会学術集会

会長挨拶

第11回日本婦人科ロボット手術学会
会長 横山 良仁
(弘前大学大学院医学研究科 産科婦人科学講座 教授)

 ロボット手術件数は診療科を問わず増加の一途を辿っています。保険適応術式の範囲が広がりロボット術者、ロボット導入施設が増えたことが大きな要因です。産婦人科に限れば、数年前からは開腹手術、腹腔鏡手術との棲み分けはどうするのかという議論、ロボット手術を含めた若手手術教育の議論、プロクター制度の充実・確立、ロボット手術のメリット・デメリットなど数ある課題を本学会で取り上げられてきました。時代は進み、新機種の参入が相次ぎロボット手術の正しいあり方が問われています。ロボット手術にも経験、学識、技量に富んだ術者を認定し安全性の高いロボット手術を提供するため技術認定制度や施設認定制度の議論が進んでいます。その一方で、進化したテクノロジーを利用した手術見学、手術指導が効果を発揮するのかという臨床研究が行われています。さらには、遠隔地の患者をその場にいる術者と同機種を用いて遠隔共同手術を行うという実証試験も進んでいます。AIによる技術評価、プログラミングされたAIによる手術の研究も進んでいます。数年前までは遠い将来いずれはこのような時代になるのだろうなと漠然と考えていたものが、この1、2年間で一挙に実現手前まで到達している現実には底知れぬ技術革新能力を持つロボット手術であると感服しています。

 そのロボット手術の新時代に私たちはどのように適応していったら良いのでしょうか。地道にロボット手術を修練し、スキルを伸ばし、自信を得て、それを後輩に伝授していく。そのような愚直さは捨てられません。一方で、高度に進化したテクノロジーをも受け入れる度量も必要です。地道さとハイテクのバランス。これがロボット手術の新時代なのではないでしょうか。しかしいつの時代も主役は患者です。治せる病気はしっかり治してあげる、その方法が複数あればより侵襲の少ない方法を選んであげる、合併症が起これば適切に対応する。医師は脇役であるが、武器を多く持つ名脇役でありたいと思います。

 本会では、新時代を迎えるロボット手術を大いに語り合いたいと考えています。新機種でもよし、新たな教育方針でもよし、遠隔手術でもよし、合併症から何を学ぶでもよし、なんでも語りあう学術講演会を目指したいと思います。

 1月の弘前はしんしんと雪が降り雪に埋もれた静かな世界です。室内の暖かな空間で最高の津軽の日本酒と聴き慣れない津軽弁を堪能してみてください。現地開催が実現できましたら、できる限りのおもてなしを考えています。勉強と共に冬の弘前を楽しんでください。青森県産婦人科医一同皆様をお待ちしております。

2022年2月吉日

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