学術会長挨拶
第84回日本癌学会学術総会
学術会長 大島 正伸
金沢大学がん進展制御研究所・教授
第84回日本癌学会学術総会は、令和7年(2025年)9月25日(木)〜27日(土)の3日間、石川県金沢市で開催されます。日本癌学会は「がん研究を通してがんを制圧する」ことを大きな目的とし、がんの本態解明を目指す革新的な基礎研究から、新規がん予防治療薬の開発につながる臨床研究を一体的に推進しています。この目標達成のためには、多様な背景を持った研究者が集い、最新の情報を共有し、新たな研究の発展に繋げていくことが重要です。そこで、第84回学術総会では、世代を超えたさまざまな領域の参加者がつながるように、「未来への希望とともに、つながるがん研究」をテーマに掲げました。
プログラムとして、従来の学術総会で人気の高いYoung Plenary Sessionや女性研究者シンポジウム、AMEDシンポジウム、Meet the Editorなどを踏襲しつつ、いくつかの新しい取り組みを行います。特に、最新の研究トピックに焦点を当てたシンポジウムを多数開催し、専門が異なる参加者にも参加しやすいように、シンポジウムに関連した教育講演をシンポジウムに先立って実施します。教育講演からシンポジウムまで連続して参加していただくことで、研究の背景から最先端の情報を得る貴重な機会となることを期待しています。また、一部のシンポジウムは公募とし、若手研究者の斬新な視点から企画されたシンポジウムも開催致します。ぜひ、これらのシンポジウムにご参加いただき、がん研究における新しい潮流を企画した研究者たちと共に体感してください。
さらに、「研究者のたまご・ひよこセッション」では、全国の医学部学生による研究発表会を開催します。現役のがん研究者との交流を通じて、将来のがん研究を目指す人材の育成を目指しています。本学術総会は国際化の推進も大きな柱としており、JCA-AACRジョイントシンポジウムやInternational Session(IS)に加えて、テーマ別の国際シンポジウムも複数企画しています。また、世界のがん研究をリードするLillian Siu博士(Princess Margaret Cancer Center)やJoseph Schlessinger博士(Yale University)による特別講演も開催されます。参加者の皆さまには、これらのイベントに参加し、国際的に活躍する最前線の研究に触れていただければ幸いです。
最後に、本学術総会は1969年に岡本肇先生(当時 金沢大学がん研究所教授)が会長として開催した第28回学術総会以来、半世紀ぶりの石川県金沢市での開催となります。新しいプログラムを通じて、金沢から最先端のがん研究成果を発信し、地域の活性化に貢献するとともに、能登半島の復興にもつながる学術総会となることを期待しています。第84回日本癌学会学術総会に、多くの皆さまのご参加を心よりお待ちしております。