学会長挨拶
第58回日本作業療法学会が札幌で開催されることとなりました。今回の学会は例年とは異なり、第8回アジア太平洋作業療法学会(APOTC)が学会当日まで同じ会場で開催され、アジア各国の作業療法士も札幌に集まることになっています。APOTCの参加者は日本作業療法学会にも参加が可能となっており、本学会は国内だけでなくアジア圏の作業療法士の交流の場として、また、日本の保健医療の特徴や作業療法の取り組みを発信し国際的な意見交換を行う機会となります。
我が国の保健医療の現状は少子高齢社会や、医療・福祉財源の不足による持続性など様々な課題が山積しており、「地域」「自助・公助」「効率化」「予防」「自動化」「AIの活用」など様々なキーワードで検討が行われています。作業療法士もその一翼を担う専門職として、専門知識に基づいた根拠のある医療技術の提供と同時に、地域のなかで人々の活動と参加を様々な専門職と協業しながら支援する役割が期待されています。特に、生活者の基盤となる「作業」の継続を支え、個人-地域社会に働きかけていくことが重要になります。
第58回日本作業療法学会では、「作業療法の効果を最大化する知識・技術・環境を問う」をテーマに、これまでの半世紀以上の実績から蓄積されてきた知識・技術などを総括するとともに、今後に向けて日本の作業療法が進むべき方向を会員とともに考える学会としたいと思います。
晩秋の北海道は温暖化とはいえ北海道外からの参加者には肌寒く感じる気候です。秋から冬に向かう北海道は初雪が降り、地域によっては氷点下となることもありますが、国産のシシャモやタラバガニ、サケなど旬の食材もおいしい季節です。学会で熱い討論や情報収集を終えた後は、是非、北海道を満喫しながら会員の交流を深めていただければ幸いです。皆様の学会参加をお待ちしています。
第58回日本作業療法学会
学会長 仙石 泰仁
(札幌医科大学保健医療学部)