会長挨拶
第27回日本門脈圧亢進症学会総会
会長 於保 和彦
一般財団法人 医療・介護・教育研究財団 柳川病院 院長
久留米大学医学部 臨床教授
この度、2020年9月10日(木)、11日(金)の両日、福岡市の電気ビル共創館において第27回日本門脈圧亢進症学会総会を開催させていただきますことになりました。
門脈圧亢進症とは肝不全、消化管静脈瘤破裂、腹水貯留、肝性脳症、貧血や血小板減少症、門脈血栓症、耐糖能異常などを引き起こす全身の症候群であります。
近年、経口抗ウイルス剤の登場で、肝炎ウイルスの排除が可能になったことは、門脈圧亢進症の分野にも大きなインパクトを与えました。また腹水、肝性脳症、門脈血栓症、血小板減少症などに対する新薬が相次いで発売されています。さらには静脈瘤治療においても、ヒストアクリルは薬事承認、B-RTOは保険収載され、新しい塞栓物質やデバイスの改良が進められています。一方で、肝炎ウイルス排除後にもかかわらず静脈瘤が増悪し、破裂する症例も経験いたします。また、いまだに門脈圧亢進症自体を改善させる薬剤は存在しておりません。解決すべき問題は数多く残されております。
第27回総会では、テーマを「温故創新、― In Search of Innovation ―」とし、これまで築き上げられてきた門脈学のエビデンスを振り返りながら、革新的な治療、研究について活発な討論ができれば幸いです。
本学会は、肝臓内科、内視鏡内科、外科、放射線科、小児科、病理学など、様々な分野の医師が参加し、門脈圧亢進症に特化した討論をおこなうという、世界的にみても例のないユニークな学会であり、海外の研究者からも大きな関心をもって注目されております。第27回総会では、アジアの研究者を交えて学会初の国際joint sessionを開催する予定です。
2020年は東京オリンピック、パラリンピックの年です。本学会が開催される9月上旬はその喧騒の余韻がまだ残っているころだと思いますが、その熱気に負けないような熱い学会にしたいと思っております。
福岡では中洲の屋台や繁華街が皆様を迎えてくれることと思います。空き時間にはぜひ柳川にも足を延ばしていただき、どんこ舟で川下りを楽しみ、名物の鰻のせいろ蒸しや有明海の珍味をお召し上がりください。皆様の多数のご参加をお待ちしております。