司会のことば
シンポジウム1
食道・胃静脈瘤治療の現状と今後の展望
- 司会
- 入澤 篤志 (獨協医科大学医学部内科学(消化器))
- 近森 文夫 (高知赤十字病院外科)
(司会のことば)
食道胃静脈瘤は門脈圧亢進症患者の予後を左右する重要な合併症ですが、内視鏡的治療やInterventional radiologyの進歩と普及により、その予後およびQOLは大きく改善しました。また、さまざまな画像診断法も発展し、簡便かつ確実に門脈血行動態の把握が可能となったことで、いわゆる個別化医療の観点から各症例に応じた治療法選択も行われています。一方、肝機能不良例に対する予防的治療の是非、外科的治療の適応、さらには医療経済を考えた効率的な治療のあり方など、今後解決すべき課題も多く存在しています。本シンポジウムでは各施設での食道・胃静脈瘤治療の現状をご発表いただき、現状を踏まえた今後の展望について討論したいと考えます。今後の発展につながる野心的な演題も歓迎します。多くの演題をお待ちしております。
シンポジウム2
肝線維化と門脈圧亢進症 基礎、臨床のUp to Date
- 司会
- 河田 則文 (大阪市立大学大学院医学研究科肝胆膵病態内科学)
- 古市 好宏 (東京医科大学消化器内科学分野、新座志木中央総合病院消化器内科)
(司会のことば)
門脈圧亢進症の病態が分子・細胞レベルで解明されてきた。診断に関しても各種画像検査、臓器硬度測定、内視鏡検査、HVPG測定や血清バイオマーカーなどを用いて定量性・非侵襲性が改善している。一方、治療領域では抗ウイルス療法の門脈圧への影響が検討され、また、門脈血栓症、腹水、血小板減少症等に対する薬物療法や外科治療が裾野を広げている。本シンポジウムは門脈圧亢進症の基礎・臨床の進歩について演題を集め、大いなる議論を展開したい。
合同シンポジウム2 (第9回脾臓研究会)
肝硬変における脾機能制御の功罪 ―免疫機能、重症感染症を中心に―
- 司会
- 緒方 俊郎 (聖マリア病院外科)
- 竹村 信行 (国立国際医療研究センター病院 肝胆膵外科)
(司会のことば)
脾臓は体内で最大の免疫機能を有する臓器で、免疫機能が低下している肝硬変患者に対するPSE、 脾摘は、感染症を助長する可能性があり、海外では肝硬変に対する脾摘は禁忌とする施設もある。一方で、肝硬変に対する脾摘、PSEにて免疫機能が改善する報告もみられ、未だにcontroversialな課題である。本研究会では、肝硬変/ 非肝硬変患者におけるPSE、 脾摘による免疫機能(感染免疫、腫瘍免疫)の変化、術後重症感染症、OPSI発生、肺炎球菌ワクチンの効果をメインテーマに、血小板減少を伴う肝硬変における脾摘、PSE、薬物治療の功罪を議論して頂きたい。
パネルディスカッション1
ウイルス性肝炎SVR後に門脈圧亢進症は改善するか
- 司会
- 持田 智 (埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科)
- 吉治 仁志 (奈良県立医科大学消化器・代謝内科)
(司会のことば)
C型肝炎は非代償性肝硬変症例もDAA治療の対象になったが、SVR後の長期予後は不明である。これら症例は、特に門脈圧亢進が高度であり、SVR後の肝発癌、肝機能とともに、門脈圧の変化が注目される。そこで、本パネルディスカッションでは、肝炎ウイルス制御が門脈圧亢進症に及ぼす影響を幅広く議論する。非代償性肝硬変のみならず、代償性肝硬変にも範囲を広げて、SVR後の門脈圧および門脈圧亢進症関連イベントの動態を発表していただきたい。また、核酸アナログで治療中のB型肝硬変症例も参考として募集する。多数の演題の応募を期待する。
パネルディスカッション2
門脈圧亢進症におけるIVRの最前線 (一部指定)
- 司会
- 小泉 淳 (東海大学医学部画像診断学)
- 廣田 省三 (甲南医療センターIVRセンター)
(司会のことば)
門脈圧亢進症におけるIVRとしては、金川先生が開発されたBRTOのほか、PTO、TIOなどのantegrade obliterationや、PSEなどが我が国での主流であるが、欧米では依然としてTIPSが汎用される。BRTOはオルダミンとともに保険収載されたが、foamとしての利用やNLEを含むglueの併用、韓国ではplugを通してのゼラチンスポンジ塞栓などへ変遷がみられる。一方でC-arm CTなどを利用した画像診断支援も進歩している。これらIVRの最前線を是非ご紹介いただきたい。
パネルディスカッション3
門脈-大循環短絡路閉鎖の長期予後
- 司会
- 今井 幸紀 (埼玉医科大学病院消化器内科・肝臓内科)
- 橋爪 誠 (北九州中央病院)
(司会のことば)
門脈圧亢進症患者において短絡路は、肝線維化による肝内血管抵抗の上昇した結果であり、臨床的には消化管出血や難治性腹水などのコントロールが問題となる。従って、従来はシャント手術などで門脈圧を減圧することに重点が置かれていたが、最近では、短絡路を閉鎖するIVR法や内服薬による治療法が主流となってきている。今回のパネルでは、これらの新しい治療法による短絡路閉鎖の長期予後について議論を深めたい。
ワークショップ1
肝移植と門脈圧亢進症 -現状と問題点-
- 司会
- 江口 晋 (長崎大学大学院移植・消化器外科学)
- 金子 順一 (東京大学医学部附属病院肝胆膵外科・人工臓器移植外科)
(司会のことば)
門脈圧亢進症に対する肝移植は重要な治療法の一つである。肝移植を見据えた周術期の門脈圧亢進症に対する治療戦略として、肝移植前の門脈圧亢進症の治療、術中に門脈血栓やシャントの問題にどのように対応するか、術後の門脈圧亢進症の原因と治療はどのようにしているのかについて論じていただきたい。また、近年増加しつつある脳死肝移植に対し、術前の門脈圧亢進症の治療戦略についても述べていただきたい。
ワークショップ2
門脈血栓症の診断と治療戦略
- 司会
- 赤星朋比古 (九州大学大学院医学研究科先端医療医学)
- 日高 央 (北里大学消化器内科学)
(司会のことば)
門脈血栓症に対する治療は、アンチトロンビン製剤のみが保険承認を得られている。しかしヘパリン製剤との併用療法やDOACを用いた維持療法の是非、さらには脾摘後の抗凝固療法の必要性、また凝固・線溶系マーカーの存在診断・効果判定における有用性など不明な点が多い。このワークショップにおいては、今までのエビデンスに基づいた症例集積での報告はもちろん、小数例であっても新たな視点に基づいた報告をお願いしたい。門脈血栓症の診断と治療戦略の“温故知新”をディスカッションできれば幸いである。
ワークショップ3
肝性脳症の集学的アプローチ
- 司会
- 菅原 通子 (埼玉医科大学消化器内科・肝臓内科)
- 松岡 俊一 (日本大学医学部附属板橋病院消化器肝臓内科)
(司会のことば)
肝性脳症の治療には主に薬物療法と食事療法がある。前者は分岐鎖アミノ酸製剤、難吸収性リファマイシン系抗菌薬、二糖類などの高アンモニア血症治療薬、その他(カルニチン・亜鉛)がある。また門脈—大循環シャントによる肝性脳症はBRTOなどのIVR治療や内視鏡治療、外科的治療がある。これら薬物治療・食事療法・シャント治療などを組み合わせた集学的治療が各施設でどのように行われているか、また新しい治療法の展望などにつきご発表頂きたい。活発な討議を期待する。
ワークショップ4
門脈圧亢進症に伴う腹水、胸水の病態と治療
- 司会
- 坂井田 功 (山口大学医学部消化器病態内科学)
- 渡辺 勲史 (東海大学医学部附属八王子病院消化器内科)
(司会のことば)
門脈圧亢進症では腹水・胸水を合併するとその予後が悪くなることが知られており、病態の解明と治療は非常に重要である。我が国においては、特に腹水の治療に対し従来の利尿薬に加えV2受容体阻害薬の臨床使用が広がり様々な臨床知見が集積されている。本セッションでは、現状における胸・腹水に関する病態や治療に対する幅広い発表・討論を期待する。
ワークショップ5
門脈圧亢進症におけるサルコペニアの実際と対策
- 司会
- 川口 巧 (久留米大学医学部 内科学講座 消化器内科部門)
- 清水 雅仁 (岐阜大学大学院医学系研究科腫瘍制御学講座消化器病態学分野)
(司会のことば)
サルコペニアは様々な疾患の病期進展や患者予後に関わる。門亢症患者は、門脈血行動態の変化、門亢症性胃腸症による吸収障害や腸内細菌叢の変化などを認めることから高頻度にサルコペニアを合併していると考えられる。本ワークショップでは、門亢症におけるサルコペニアの実態や病態、ならびに各施設の取り組みについてご発表頂きたい。その上で、現在のエビデンスと問題点を共有するとともに、今後の展望ついて議論したい。
ビデオワークショップ1
外科領域 - 私はこうしている
- 司会
- 川中 博文 (国立病院機構別府医療センター消化器外科臨床研究部)
- 吉田 寛 (日本医科大学消化器外科)
(司会のことば)
門脈圧亢進症に対する治療の変遷にて、内視鏡治療やIVRが主に行われるようになり、侵襲の大きな外科手術が行われる機会は少なくなった。しかし現在でも、内視鏡やIVR抵抗性の食道胃静脈瘤や異所性静脈瘤および高度の脾機能亢進症など、外科手術を必要とする症例は存在し、門脈圧亢進症の病態の理解や安全を担保した手術手技が必要とされる。本ビデオワークショップでは、腹腔鏡下脾摘術・Hassab手術、各種シャント手術やIVRと手術を組み合わせたハイブリッド手術など、各施設のビデオをご提示いただき、その手技のポイントや成績について報告していただきたい。
ビデオワークショップ2
IVR領域 - 私はこうしている
- 司会
- 山上 卓士 (高知大学医学部放射線医学教室)
- 和栗 暢生 (新潟市民病院消化器内科)
(司会のことば)
門脈圧亢進症におけるIVRは門脈血行動態を症例毎に考慮して、最適な血行改変を行うものである。門脈大循環シャント塞栓術としてのBRTOやPTO、脾静脈血流を減じて門脈圧を低下させるPSE、シャント作成による門脈圧減圧目的のTIPSがあり、血行動態と目的に応じて手技が選択・併用される。近年はBRTOの変法も各種登場してきた。各施設で行っている成績向上のための手技の工夫、こだわりのポイントなどビデオを利用して伝えていただき、活発な議論もいただきたい。
ビデオワークショップ3
内視鏡領域(組織接着剤)- 私はこうしている
- 司会
- 引地 拓人 (福島県立医科大学附属病院内視鏡診療部)
- 吉田 智治 (小倉記念病院 消化器内科)
(司会のことば)
組織接着剤を用いた内視鏡的止血術は、胃静脈瘤出血の第一選択としてコンセンサスを得られている。また、十二指腸静脈瘤などの異所性静脈瘤からの出血でも組織接着剤が有用であることが多く、胃静脈瘤の予防例でも組織接着剤を用いた内視鏡治療を採用している施設がある。しかし、組織接着剤の濃度や投与方法は統一されておらず、施設ごとで工夫をしているのが現状である。そこで、本ワークショップでは、臓器に関わらず、各施設で行っている組織接着剤を用いた内視鏡的静脈瘤治療の工夫やコツを提示していただきたい。少数例の報告でも大歓迎である。