運営事務局

株式会社コンベンションリンケージ

〒531-0072 大阪市北区豊崎3-19-3
PIAS TOWER 11F
TEL:06-6377-2188
FAX:06-6377-2075
E-mail:jsmd16@c-linkage.co.jp

ご挨拶

2019年7月5日と6日の両日に、第16回日本うつ病学会総会を開催いたします。この学会は、うつ病関連疾患を幅広く対象とし、精神科医だけでなく多職種の方々の参加する開かれた学会であり、社会の中で次第に大きな役割を果たすようになっています。全国から集まる皆さまに有意義な場を提供できるよう尽力いたします。

大会テーマは、「気分の臨床‐心と脳の重なるところ‐」としました。うつ病と双極性障害だけでなく気分に関連する諸問題を幅広く議論したいという思いから「気分の臨床」とし、心と脳が重なってみえるのは精神疾患に共通とはいえ、気分の臨床において最も際立って意識されることから「心と脳の重なるところ」という副題を付けた次第です。心理社会的立場から先端脳科学的立場まで様々な観点からのご発表が集まって、気分の臨床について掘り下げてゆけることを願っております。

特別講演は、ひとつは「melancholia」概念の意義を一貫して主張しているGordon Parker先生に依頼いたしました。Parker先生を筆頭著者とする、この概念の復権を主張する2010年のAmerican Journal of Psychiatryの論説には、H. AkiskalやR. Spitzerなど立場を異にする大立者が十数名も名を連ねていて驚きました。「melancholia」ないし「内因性うつ病」概念が不明確となって、操作的基準に頼らざるを得なくなり、うつ病概念全体が拡散したように思えます。日本においては、近年、様々な独自の「うつ病」が提唱されていますが、いずれもメランコリー親和型うつ病との対比として概念化されており、中核が不明確になると全体が曖昧になるところは国際的な動向と類似しているかもしれません。Parker先生のご講演は示唆に富むものとなることでしょう。同時通訳を付ける予定です。

もうひとつの特別講演では、精神科医であり作家でもある帚木蓬生先生に「ネガティブ・ケイパビリティ‐答えの出ない事態に耐える力」についてお話しいただきます。この概念は、もともとはイギリスの詩人キーツが残したもので、精神科医ビオンによって再発見されたそうです。診療に当てはめれば、治療ガイドラインの実践能力はいわばポジティブ・ケイパビリティですが、それでは答えの出ない事態に直面するのは日々のことです。そのときどうするか、ご講演から深い叡智を得ることができるでしょう。

また、例年の総会に倣って、学会委員会の企画やプログラム委員会の提案を基に、多職種の参加者の興味に応じられるよう教育講演やシンポジウムなどを多数企画いたします。多くの方々のご参加を心からお待ちしております。

7月初めの徳島は、一か月後に迫った阿波踊りの練習に拍車がかかり、街角の公園から笛太鼓の響きが伝わってきます。お気軽な旅装でお越しください。ちなみに、総会のポスターや本ホームページの表紙は、歌川広重の六十余州名所図会、阿波鳴門の風波、を使用してローカルな雰囲気を出しました。また懇親会では阿波踊りの実演と郷土料理をたっぷりとお楽しみいただけます。こちらにもふるってご参加ください。

第16回日本うつ病学会総会
会長 大森 哲郎
徳島大学大学院医歯薬学研究部 精神医学分野