共催セミナープログラム
11月25日(金)
ランチョンセミナー 1
11月25日(金) 11:50~12:40(第1会場 4階 ホールC )
- 概要
- 昨年,認知症の中でも頻度の高いアルツハイマー型認知症(Alzheimer’s disease: AD)の疾患修飾薬が,米食品医薬品局の条件付き承認を受けたという報道があり,認知症治療の新たな展開が期待される.今後,ADの疾患修飾薬が日常診療の一部になった場合に求められることは,認知症の早期発見とその診断精度である.臨床の現場では,認知機能低下が疑われた場合に頭部CT/MRI,脳波,SPECTなどの検査を実施することが多い.これらの検査はあくまで診断の目安であり,頭部CT/MRIでの海馬萎縮やSPECTにおける側頭頭頂パターンの血流低下=ADと断定しないことである.また,老年期うつ病,てんかん,せん妄などの鑑別も重要となってくる.本セミナーでは,認知症の早期発見とADを中心とする各病型の ポイントや認知症との鑑別を要する他疾患の特徴などを概説したい.
ランチョンセミナー 2
11月25日(金) 11:50~12:40(第2会場 7階 ホールB7(1))
高齢うつ病の真の回復とは~症状軽快からリカバリーへ~
- 座長:
-
池田 学
大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室
- 演者:
-
松尾 幸治
埼玉医科大学医学部精神医学
- 共催:
- 武田薬品工業株式会社/ルンドベック・ジャパン株式会社
- 概要
- わが国は人口高齢化に伴い,シニア世代の生活スタイルも多様化し,働き続ける人や趣味の世界を楽しむなど個々の満足も多様化してきている.うつ病治療のゴールは,従来は抑うつ気分などの症状の改善だったが,現在は本来の社会生活に戻る機能的リカバリーが求められてきている.高齢うつ病治療においても同様で,個々の多様化した機能的リカバリーを目指していくことが重要である.その機能的リカバリーに重要なもののひとつは認知機能障害の改善である.うつ病の認知機能障害とは何かを脳画像的病態も含めて検討し,うつ病の薬物治療について新薬であるボルチオキセチンを含めて考察をしていきたい.
ランチョンセミナー 3
11月25日(金) 11:50~12:40(第3会場 7階 ホールB7(2))
「もの忘れ外来」のMRI診療 ~現状とバイオマーカー時代の展望~
- 座長:
-
原田 雅史
徳島大学大学院医歯薬学研究部放射線医学分野
- 演者:
-
奥村 歩
医療法人三歩会おくむらMemoryクリニック
- 共催:
- 富士フイルムヘルスケア株式会社
- 概要
- 「もの忘れ外来」に,新型Open MRIを導入後,約5万scanの経験を踏まえて,現状と展望を考える.
1)先ずは,遂行実行機能・記憶機能・言語機能などを,侵襲する器質的疾患 (Eloquent areaの脳腫瘍・脳血管障害・特発性正常圧水頭症)とアルツハイマー型認知症との鑑別を供覧する.
2)MRIは,脳内・脳血管内のアミロイドβを,間接的ではあるが,把握できるモダリティーになりつつある.ARIA(amyloid related imaging abnormalities)として,脳葉型微小出血・脳表ヘモジデリン沈着・皮質微小梗塞・脳アミロイド血管症関連炎症の現状を報告する.
最後に,脳内の鉄沈着を測定し,アイロイドβの動態を推測する定量的磁化率マッピング(QSM)の可能性を展望する.
ランチョンセミナー 4
11月25日(金) 11:50~12:40(第4会場 5階 ホールB5(1))
脳神経内科医が考えるレビー小体型認知症の早期診断
- 座長:
-
服部 信孝
順天堂大学医学部神経学講座/理化学研究所脳神経科学研究センター神経変性疾患連携研究チーム
- 演者:
-
渡辺 宏久
藤田医科大学医学部脳神経内科学
- 共催:
- 住友ファーマ株式会社
- 概要
- レビー小体型認知症は,経過中に認知機能低下,行動障害,パーキンソニズム,自律神経不全,睡眠障害を経過中に種々の程度で生ずる.このため,早期診断には,精神疾患,更にはAlzheimer型認知症,前頭側頭型認知症,パーキンソン病,進行性核上性麻痺,大脳皮質基底核変性症,多系統萎縮症,正常圧水頭症など多様な神経変性疾患との鑑別が問題となる.
正しい診断には,臨床経過,神経所見,全身所見の評価が最も重要で,各種検査の特徴や例外を熟知することも大切である.
一方,ウェアラブル端末,AI,PMCA/RT-QuIC用いたαシヌクレイン検出,αシヌクレインPETなど,早期診断へつながる新規手法の開発も進んでいる.
ランチョンセミナー 5
11月25日(金) 11:50~12:40(第5会場 5階 ホールB5(2))
心の病を定量する:AI医療機器開発の現場から
- 座長:
-
岩坪 威
東京大学大学院医学系研究科/国立精神・神経医療研究センター神経研究所
- 演者:
-
岸本 泰士郎
慶應義塾大学医学部ヒルズ未来予防医療・ウェルネス共同研究講座
- 共催:
- 株式会社FRONTEO
- 概要
- 精神疾患における症状の定量化の難しさは,診断の遅れや不一致につながり,治療評価をわかりにくくする.演者らは,人工知能技術を活用することで,このような問題への対処を目指し,複数の医療機器開発に取り組んできた.
例えば,演者らは三軸加速度や心拍等を定量可能なリストバンド型ウェアラブルデバイスを用いて,うつ病のスクリーニング/重症度推定を行うソフトウェア医療機器を開発中である.産業保健分野においてうつ病をはじめとするメンタルヘルス不調は増加の一方で,こうしたデバイスも有用かもしれない.また,認知症の診断もしばしば遅れることが問題になる.認知症の経過中,言葉に表出される症状として,アルツハイマー型認知症に認められる健忘失語は代表的である.
典型的な失語症状として捉えられる前にも,品詞の使い方の変化,文章の構造の変化が生じている可能性がある.演者らは,自然言語処理を用いて認知症スクリーニングを可能とするソフトウェアを開発した.
デジタルトランスフォーメーション時代,こうしたデジタルバイオマーカーを用いた医療・治験は世界の医療や治験を変えつつある.講演では,演者の経験を交えながら,近未来の医療の展望と課題について述べる.
アフタヌーンセミナー 1
11月25日(金) 15:00~15:50(第2会場 7階 ホールB7(1))
認知症の不眠・不安に対する薬物療法 -特に漢方薬の役割を中心に-
- 座長:
-
頼高 朝子
順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院
- 演者:
-
宮澤 仁朗
医療法人亀田病院分院亀田北病院
- 共催:
- クラシエ薬品株式会社
- 概要
- 高齢に伴い,総睡眠時間の短縮や睡眠の質の悪化(深睡眠の減少)などの睡眠障害を来たしやすいことは周知の事実である.特に認知症高齢者では高頻度で睡眠障害を認め,アルツハイマー型認知症(AD)では64%に,レビー小体型認知症(DLB)では89%に睡眠障害を合併すると言われている.又DLBではレム睡眠時行動障害(RBD)が特徴的な睡眠障害であり,DLBの幻視や認知の動揺などの主要症状に先駆けて,RBDが顕在化する傾向がある.昨今,認知症高齢者の不眠や不安に対して,西洋薬のみならず,証やフレイルの有無を勘案しつつ漢方薬を治療に導入する薬物療法が進展してきた.今回は東洋医学の観点から認知症の不眠・不安に対する治療を考慮してみたい.
アフタヌーンセミナー 2
11月25日(金) 15:00~15:50(第3会場 7階 ホールB7(2))
知っておきたい認知症診療のエッセンス
- 座長:
-
松田 博史
福島県立医科大学生体機能イメージング講座
-
岩田 淳
東京都健康長寿医療センター脳神経内科
高齢者てんかんと認知症の鑑別
- 演者:
-
岩田 淳
東京都健康長寿医療センター脳神経内科
認知症診療における脳核医学検査up-to-date
- 演者:
-
松田 博史
福島県立医科大学生体機能イメージング講座
- 共催:
- 日本脳神経核医学研究会/日本核医学会/PDRファーマ株式会社
- 概要
- 演題①てんかんと認知症はともに中枢神経疾患のcommon diseaseである.そのため両者が合併したり,「もの忘れ」という主訴の患者が認知症ではなくてんかんであるという事も日常診療ではよく遭遇するだろう.本セミナーでは,まずは症例提示を交えて認知症とてんかんの鑑別について議論をしたい.そして,てんかんを疑う場合どのようなポイントに注目すれば良いのか,また,どのような検査が有用なのか,そして高齢者てんかんでの治療薬の選択について発表させて頂く.
演題②認知症の日常診療において脳血流SPECTは補助診断法として,早期診断や鑑別診断に多く用いられている.アルツハイマー病の初期では後部帯状回から楔前部および頭頂葉皮質に血流低下を認めるが,読影の補助としてeZISによる画像統計解析が利用され,検査の普及に寄与している.一方,脳アミロイドPET検査は本邦では保険未適用であるものの,18F-florbetapirをはじめ3製剤が承認されている.アミロイドPETでは視覚読影による陰性/陽性の二値判定が求められるが,18F標識製剤は11C-PiBに比して灰白質/白質コントラストが低く,軽度集積の場合に陽性判定が一致しないことが多い.
本講演では,視覚読影を補う目的で近年構築が進展する各種定量評価法や正常集積画像NDBを活用した画像統計解析法の概要と実例について述べる.
アフタヌーンセミナー 3
11月25日(金) 15:00~15:50(第4会場 5階 ホールB5(1))
アルツハイマー病血液バイオマーカー研究の最前線
- 座長:
-
岩坪 威
東京大学大学院医学系研究科/国立精神・神経医療研究センター神経研究所
- 演者:
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Sebastian Palmqvist
Clinical Memory Research Unit, Lund University, Lund, Sweden
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池内 健
新潟大学脳研究所生命科学リソース研究センター
- 共催:
- 日本イーライリリー株式会社 研究開発・メディカルアフェアーズ統括本部
- 概要
- 近年,PETイメージングや体液バイオマーカーによるアルツハイマー病理に基づく診断技術の進歩が著しく,実際に,一部のアルツハイマー病臨床試験においてはスクリーニングツールとして応用されている.最近のアルツハイマー病疾患修飾薬の開発状況を鑑みると,早急にこれらのアルツハイマー病の診断に関連するPETイメージングや体液バイオマーカーの意義を理解し,臨床現場で使いこなす準備をする必要がある. 本セッションでは,バイオマーカーによるアルツハイマー病理に基づく診断の基礎をはじめ,さらに最近進歩の著しい血液バイオマーカーの最新データまで幅広く紹介し,パネルディスカッションでは臨床応用に向けての機会や課題を議論する.
11月26日(土)
モーニングセミナー 1
11月26日(土) 8:00~8:50(第1会場 4階 ホールC )
DMTを見据えた脳核医学検査の役割
- 座長:
-
小野 賢二郎
金沢大学医薬保健研究域脳神経内科学
- 演者:
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清水 聰一郎
東京医科大学高齢総合医学分野
- 共催:
- 日本脳神経核医学研究会/日本核医学会/日本メジフィジックス株式会社
- 概要
- 近年,アルツハイマー型認知症を取り巻く環境は刻々と変化しており,特に2021年の米国での疾患修飾薬承認は未だ議論の余地があるが大きな話題となった.
認知症診療,特に鑑別診断において問診や診察が重要であることは周知の事実であるが,種々の補助検査が役に立ち,神経学的検査,画像検査などが利用されている.
脳画像検査は,CT,MRIのみならず脳血流SPECTやドパミントランスポータシンチグラフィも日常診療で広く利用されている.
本邦では疾患修飾薬およびアミロイドPETが保険償還されていない状況ではあるが,今後の保険償還を見据えて脳SPECT等の核医学検査をどのように認知症診療で利用していくかをお伝えしたい.
本講演がご参加の先生方の診療の一助になれば幸いである.
モーニングセミナー 2
11月26日(土) 8:00~8:50(第2会場 7階 ホールB7(1))
- 概要
- アルツハイマー型認知症の病態に,炎症のプロセスが関与している可能性が指摘されている.炎症は心理社会的ストレスや肥満など様々な要因により誘発されるが,睡眠障害も炎症をひき起こすことが知られる.睡眠障害による炎症はアミロイドβの沈着を増加させ,アルツハイマー型認知症の病態の進行に影響する.一方,睡眠障害は脳老廃物のクリアランスを低下させ,蓄積したアミロイドβは炎症をひき起こし,病態の進行に深く関与する.アルツハイマー型認知症の予防法について全世界が精力的に研究を重ねているなか,睡眠障害の改善がその予防法の一つとなるのかもしれない.
ランチョンセミナー 6
11月26日(土) 12:10~13:00(第1会場 4階 ホールC )
アミロイド仮説から見たアルツハイマー病の病態機序を再考する
- 座長:
-
冨本 秀和
三重大学大学院医学系研究科/三重県済生会明和病院
- 演者:
-
小野 賢二郎
金沢大学医薬保健研究域脳神経内科学
- 共催:
- エーザイ株式会社 メディカル本部
- 概要
- アルツハイマー病(AD)の病態生理において,アミロイド前駆体蛋白からアミロイドβ蛋白(Aβ)が切り出され,異常凝集し,神経細胞に傷害を引き起こすという「アミロイド仮説」が提案されている.従来,Aβが凝集していく過程で,オリゴマーやプロトフィブリルなど多様なAβ種が形成され,最終的に脳アミロイドとして蓄積した老人斑に神経毒性があるとされてきたが,近年の研究ではオリゴマーやプロトフィブリルのような早期・中間凝集体の毒性も重要視されている(オリゴマー仮説).一方でタウや炎症の病態における意義も注目されている.本セミナーでは,アミロイド仮説を再考しながらAD病態機序やAD治療の可能性を解説していく.
ランチョンセミナー 7
11月26日(土) 12:10~13:00(第2会場 7階 ホールB7(1))
ライフイベントや社会環境を踏まえた多発性硬化症へのアプローチ
- 座長:
-
野村 恭一
東松山市立市民病院/埼玉医科大学名誉教授/埼玉医科大学総合医療センター脳神経内科
- 演者:
-
清水 優子
東京女子医科大学医療安全科・脳神経内科
- 共催:
- バイオジェン・ジャパン株式会社
- 概要
- 近年,多発性硬化症(MS)は治療選択肢が増加しており,患者さんの様々なニーズに対応する治療が可能となってきている.MSの初発から再発寛解期の治療は長期予後を左右する重要な時期である.この時期に患者個々のライフイベントや社会環境を考慮し,Shared decision makingを行い最適な治療選択を行っていく必要がある.本講演では,患者個々のライフイベントや社会環境を考慮したMS再発予防薬の選択について,特に,MSの予後不良因子を多数持つ方,妊娠可能な年齢の女性MS患者さん,就労をはじめとする社会環境を考慮した治療選択などを自験例を踏まえながら紹介する.
ランチョンセミナー 8
11月26日(土) 12:10~13:00(第3会場 7階 ホールB7(2))
オーラルフレイル・イートロスに対する漢方薬~「食べる」に関連する領域の漢方薬の使い方~
- 座長:
-
橋本 衛
近畿大学医学部精神神経科学教室
- 演者:
-
米永 一理
東京大学大学院医学系研究科イートロス医学講座
- 共催:
- 株式会社ツムラ
- 概要
- 超高齢社会を迎えた現在,われわれ医療者は,フレイルや低栄養に対する介入が求められている.特に,口腔や摂食嚥下などの「食べる」に関連する領域では,投薬による加療の選択肢が少なく,機能訓練や療養環境調整が中心となり困ることが多い.そのような中で,漢方薬は,これらの領域においても有用なツールとなりうる.漢方薬はもともと急性期に使用する薬であり,適応の概念を理解しておくと,急性期から慢性期まで幅広く選択肢にあがってくる.今回,口内炎,舌痛症,口腔乾燥症などの具体的な病態に加え,高齢者の『食べる』を支えるために,次の一手としての明日から使える「食べる」に関連する領域の漢方薬の使用方法をまとめる.
ランチョンセミナー 9
11月26日(土) 12:10~13:00(第4会場 5階 ホールB5(1))
高齢化により変化した便秘診療~医師と患者が納得する治療を目指して~
- 座長:
-
天神 雄也
医療法人社団翠会成増厚生病院
- 演者:
-
中島 淳
横浜市立大学大学院医学研究科肝胆膵消化器病学教室
- 共催:
- EAファーマ株式会社/持田製薬株式会社
- 概要
- 近年の疫学調査によると慢性便秘症は高齢者に多い疾患であるとされている.また,認知症患者では便秘症を高率に合併することも報告されている.慢性便秘症は生命予後への影響も示唆されており,この意味で慢性便秘症は治療すべき疾患と考えられる.便秘治療では,多用されてきたのが酸化マグネシウム製剤とアントラキノン系やジフェニール系の刺激性下剤であったが,多用連用による高マグネシウム血症や下剤性大腸症候群といった問題点が認識されてきている.近年,上皮機能変容薬をはじめとして,胆汁酸再吸収阻害作用により排便を促すエロビキシバットなどの慢性便秘症治療薬が上市され,便秘治療の選択肢が拡大している.今後はこれらの慢性便秘症治療薬を便秘診療に取り入れていくことで,患者QOL向上を目指した治療が期待されている.
ランチョンセミナー 10
11月26日(土) 12:10~13:00(第5会場 5階 ホールB5(2))
精神科医が考えるレビー小体型認知症のパーキンソニズムに対する治療
- 座長:
-
新井 哲明
筑波大学附属病院認知症疾患医療センター筑波大学医学医療系臨床医学域精神医学
- 演者:
-
藤城 弘樹
名古屋大学大学院医学系研究科精神医学
- 共催:
- 住友ファーマ株式会社
- 概要
- 2020年のProdromal dementia with Lewy bodies (DLB)の研究用臨床診断基準では,Psychiatric-onsetの臨床亜型が示されたように,精神科では,うつ状態で発症するDLB症例をしばしば経験する.アルツハイマー病よりも抑うつ,睡眠障害,食欲低下,自律神経障害,希死念慮を病初期に伴うことが多く,寡動・注意障害を生じ,症候学的にうつ病と重複する.さらに,微小・罪業妄想を含む幻覚妄想を生じ,抗精神病薬の使用する機会が多く,薬剤性パーキンソニズムとの鑑別が困難であることも少なくない.DLB診療では,パーキンソニズムに配慮した安全性の高い効果的な治療法の確立が望まれている.
アフタヌーンセミナー4
11月26日(土) 16:20~17:10(第2会場 7階 ホールB7(1))
次世代認知症診療を見据えた環境整備
- 座長:
-
粟田 主一
東京都健康長寿医療センター研究所
- 演者:
-
新美 芳樹
東京大学医学部附属病院早期・探索開発推進室
-
古和 久朋
神戸大学大学院保健学研究科リハビリテーション科学領域
- 共催:
- エーザイ株式会社
- 概要
- 認知症領域においては,将来に向けより早期の診断へ備えた環境整備が必要であり,正常高齢者からプレクリニカル期,軽度認知障害,そして認知症に至るまでのいずれのステージにおいても切れ目のない予防,評価,診断,ケアが可能となる社会の構築を実現していく必要がある.本セッションにおいては,将来の認知症診療体制構築の参考になり得る「認知症の臨床試験 実施体制の整備」に関するご紹介と既に先進的に早期診断に取り組まれている事例として「認知症の実臨床における早期診断に向けた整備」に関してご紹介する.この研究と臨床の実例の両面からの事例のご紹介より,上記の環境整備に向けたセッションとする.
アフタヌーンセミナー 5
11月26日(土) 16:20~17:10(第5会場 5階 ホールB5(2))
認知症診療における気分障害と発達障害の鑑別の意義
- 座長:
-
中込 和幸
国立研究開発法人国立精神・神経医療研究センター
- 演者:
-
山縣 文
慶應義塾大学医学部精神・神経科学教室
- 共催:
- 塩野義製薬株式会社
- 概要
- 高齢者の精神疾患において,common diseaseであるうつ病と認知症は鑑別の対象となるだけでなく,うつ病は認知症のリスクファクターであることが言われている.しかし実臨床において,うつ病か認知症かというような横断的な二分法に臨床的意義は乏しく,まずは薬物療法を含む「気分障害」としての治療を先行しながら,将来的な認知症への移行の可能性を常に想定し,神経画像や認知機能検査を縦断的に行う必要がある.さらに近年,認知症専門外来を受診する患者のなかに一定の割合で発達障害を疑うケースが存在することも報告されている.老年期においても発達特性により顕在化した問題を積極的に評価したうえで,治療や支援をしていくことが重要である.本講演では認知症診療における気分障害と発達障害の鑑別の意義と課題について述べたいと思う.
11月27日(日)
ランチョンセミナー 11
11月27日(日) 11:40~12:30(第1会場 4階 ホールC )
アルツハイマー病のBiological subtypeから考える認知症の臨床的多様性
- 座長:
-
池田 学
大阪大学大学院医学系研究科精神医学教室
- 演者:
-
武田 朱公
大阪大学大学院医学系研究科臨床遺伝子治療学
- 共催:
- エーザイ株式会社
- 概要
- 認知症は同じ原因疾患であっても症候学的特徴や進行速度に大きな個人差がみられることがあり,この多様性が鑑別診断や治療方針の決定を難しくしている.バイオマーカー研究の進歩はアルツハイマー病の正確な診断を可能にする一方で,バイオマーキングされたアルツハイマー病患者の中には大きな臨床的多様性がみられることにも気付かされる.この個人差は重複病理の影響として部分的に説明可能かも知れないが,そもそもアルツハイマー病には複数のBiological subtypeが存在することが示唆されており,subtype間の差は臨床的にも体感可能なものであると感じる.またこのことは,疾患修飾薬に対する反応性に影響する可能性があり,Biological subtypeを腑分けする精密なバイオマーキングが必要となるかも知れない.
ランチョンセミナー 12
11月27日(日) 11:40~12:30(第2会場 7階 ホールB7(1))
気分障害と認知症の関連性 - 前駆状態か危険因子か -
- 座長:
-
新井 平伊
アルツクリニック東京
- 演者:
-
馬場 元
順天堂大学医学部附属順天堂越谷病院メンタルクリニック/順天堂大学大学院医学研究科精神・行動科学
- 共催:
- 東和薬品株式会社
- 概要
- うつ病や双極性障害は後に認知症を発症するリスクが高いことが多くの疫学的調査で示されている.しかしこれらを繋ぐ生物学的背景は明らかになっておらず,高齢者の気分障害が認知症の前駆状態なのかまたは気分障害への罹患が認知症発症リスクを高める危険因子なのかが議論されている.
本セミナーでは,うつ病や双極性障害におけるアミロイドβやタウ,αシヌクレイン,嗜銀顆粒などの認知症関連物質に関する研究報告をレビューし,高齢者の気分障害が認知症性疾患の前駆状態なのか危険因子なのかについて考察したい.
ランチョンセミナー 13
11月27日(日) 11:40~12:30(第3会場 7階 ホールB7(2))
パーキンソン病における認知機能障害-睡眠障害との関連性を考える-
- 座長:
-
武田 篤
国立病院機構仙台西多賀病院
睡眠からアプローチする神経疾患の理解とその克服
- 演者:
-
林 悠
東京大学大学院理学系研究科生物科学専攻/京都大学大学院医学研究科人間健康科学系専攻/ 筑波大学国際統合睡眠医科学研究機構(WPI-IIIS)
パーキンソン病における睡眠障害と認知機能の関連性-臨床の側面から-
- 演者:
-
鈴木 圭輔
獨協医科大学病院脳神経内科
- 共催:
- 大塚製薬株式会社
- 概要
- (講演I) 精神・神経疾患には睡眠障害がつきものだが,近年の研究から,精神・神経疾患の発症と睡眠障害は単なる一方向性の関係ではなく,睡眠の異常が疾患そのものの進行の一因となっている可能性が浮上している.本演題では,睡眠,特にレム睡眠(急速眼球運動睡眠,逆説睡眠)に注目し,種々の疾患との関連について,我々や他の研究グループの最新の成果について取り上げる.
(講演II) 代表的な神経変性疾患であるパーキンソン病(PD)では,睡眠障害と認知機能障害は高率に併存する非運動症状であり,双方の関連性が報告されている.睡眠障害の治療がPDにおける認知機能障害を含めた症状の進行抑制に働くかどうかは今後の研究結果が待たれるところである.
ランチョンセミナー 14
11月27日(日) 11:40~12:30(第4会場 5階 ホールB5(1))
ランチョンセミナー 15
11月27日(日) 11:40~12:30(第5会場 5階 ホールB5(2))
オンライン診療を活用した認知症診療の課題と展望
- 座長:
-
朝田 隆
メモリークリニックお茶の水/東京医科歯科大学
- 演者:
-
岸本 泰士郎
慶應義塾大学医学部ヒルズ未来予防医療・ウェルネス共同研究講座
- 共催:
- 中外製薬株式会社
- 概要
- 現在,想像以上のスピードで遠隔医療は世界の医療に浸透しつつある.特に新型コロナウイルス感染症のパンデミック下において,医師と患者双方の感染対策として遠隔医療の利用は急速に拡大している.我々のグループでは遠隔医療を用いた複数の臨床研究を行ってきた.認知機能検査の遠隔施行は対面の評価と高い一致度を示し,遠隔で施行した認知行動療法も治療効果が認められ患者の満足度も高かった.認知症診療においては患者のみならず介護者の負担を考慮する必要があり,遠隔医療の普及は患者・介護者の負担軽減に貢献できる可能性がある.本セミナーではオンライン診療を活用した認知症診療の課題と展望について論じる.