第77回日本大腸肛門病学会学術集会

日程表・プログラム

プログラム

特別講演

特別講演 1
「小中学生からのイギリス留学という価値ある選択」
司会:

幸田 圭史

帝京大学ちば総合医療センター外科

演者:
渡邊 和子
有限会社渡邊オフィス
渡邊 和子
特別講演 2「海外から見た日本,日本と世界はどう違う?」
司会:

正木 忠彦

清水ヶ丘病院

演者:
村上 世彰
一般財団法人村上財団
村上 世彰
特別講演 3「医療にできること、文学にできること」
司会:

山田 滋

量子科学技術研究開発機構QST病院

演者:
海堂 尊
作家・医師
海堂 尊
(c)ホンゴユウジ

教育講演

教育講演 1「Improving fistula management today, tomorrow and long after we’re gone」
司会:

長谷川 博俊

東京歯科大学市川総合病院外科

演者:

Phil Tozer

Robin Phillips Fistula Research Unit, St Mark’s Hospital and Imperial College, London

教育講演 2「The Middle Compartment:keystone or cul de sac?」
司会:

宮島 伸宜

松島病院大腸肛門病センター

演者:

Patrick Ronan O’Connell

Emeritus Professor of Surgery, University College Dublin, IreLand

教育講演 3「消化管疾患と脳を繋ぐ腸脳相関」
司会:

岩男 泰

慶應義塾大学病院予防医療センター

演者:

金井 隆典

慶應義塾大学医学部内科学(消化器)

教育講演 4「MD Anderson Cancer Center における大腸癌治療」
司会:

猪股 雅史

大分大学消化器・小児外科学講座

演者:

小西 毅

The University of Texas M.D. Anderson Cancer Center

特別企画

特別企画1「Recent Progress in Rectal Cancer Treatment」
司会:

Soichiro Ishihara(石原 聡一郎)

Department of Surgical oncology, The University of Tokyo

Masaaki Ito(伊藤 雅昭)

Department of colorectal surgery, National Cancer Center East

演者:

Alex Kirichenko

Allegheny Health Network Cancer Institute

Akio Shiomi(塩見 明生)

Division of Colon and Rectal Surgery, Shizuoka Cancer Center

Roel Hompes

Academic Medical Center, Department of Surgery, Surgical Oncology and Gastrointestinal Surgery

Yukihide Kanemitsu(金光 幸秀)

Department of Colorectal Surgery, National Cancer Center

特別企画2「Surgical treatment for anal fistula(Video session)」
司会:

Kosuke Okamoto(岡本 康介)

Matsushima Hospital Coloproctology Center

Yasumi Araki(荒木 靖三)

Kurume Coloproctology Center

演者:

Richard Alfonse Fortunato

Allegheny General Hospital, Allegheny Health Network, Pittsburgh, Pennsylvania, USA

Hiroyuki Kurihara(栗原 浩幸)

Tokorozawa Proctology Hospital

Kinya Okamoto(岡本 欣也)

Department of Coloproctology, Tokyo Yamate Medical Center

Ayumi Beniya(紅谷 鮎美)

Coloproctology Centre, Matsushima Hospital

Asian Session

Session 1「Difficult situations in the management of colorectal cancer」
Moderator:

Min Ro Lee

Jeonbuk National University

Masaaki Ito

National Cancer Center Hospital East

Speaker:

Gi Won Ha

Jeonbuk National University

Atushi Ogura(小倉 淳司)

Nagoya University

Gyung Mo Son

Pusan National University

Daichi Kitaguchi(北口 大地)

National Cancer Center Hospital East

Session 2「What's your practice for benign diseases?」
Moderator:

Kyu Joo PARK

Seoul National University

Hiroki Ikeuchi

Departnment of Inflammatory Bowel Disease Surgery, Hyogo Medical Univetsity

Speaker:

Jun Sang Shin

Ajou University

Ryuichi Kuwahara(桑原 隆一)

Hyogo College of Medicine

Choon Sik Chung

Hansol hospital

Yutaka Hanaoka(花岡 裕)

Toranomon Hospital

主題演題

シンポジウム1「排便障害診療・研究の進歩と課題」
司会:

前田 耕太郎

医療法人社団健育会 湘南慶育病院

味村 俊樹

自治医科大学 消化器一般移植外科

司会の言葉

シンポジウム1
「排便障害診療・研究の進歩と課題」

 便失禁診療ガイドラインと慢性便秘症診療ガイドラインが2017年に発行されてから5年が経過し、その改訂も検討されつつある。両ガイドライン発行と前後して仙骨神経刺激療法や経肛門的洗腸療法が保険収載され、新規便秘症治療薬も多数発売されることで排便障害診療が普及しつつある。また2021年には、臨床検査技師が直腸肛門機能検査を独立して施行できるように法整備がなされ、排便障害診療における多職種協働が進みつつある。
 このように排便障害診療・研究を取り巻く環境が大きく変化しつつある状況を踏まえて、排便障害診療・研究がどこまで進歩しているか,そして今後更に進歩するためには、どのような課題を解決すべきかを議論することは有意義と考える。そこで、各施設における排便障害診療・多職種協働の現状、便失禁・便秘症に関する研究成果、一般市民・患者への啓発活動などに関して発表して頂き、排便障害診療・研究の進歩と課題について議論したい。

シンポジウム2「大腸癌腹膜播種の診断と治療」
司会:

五井 孝憲

福井大学 第一外科

小林 宏寿

帝京大学医学部附属溝口病院外科

司会の言葉

シンポジウム2
「大腸癌腹膜播種の診断と治療」

大腸癌腹膜播種は予後不良な病態であり,現行の大腸癌取扱い規約ではStage IVc に分類される.これまで本邦においては切除可能な大腸癌腹膜播種に対して切除が推奨される一方,欧米の専門施設を中心にcytoreductive surgery (CS)+ hyperthermic intraperitoneal chemotherapy (HIPEC) の有用性が報告されてきた.しかしながら,PRODIGE 7の結果よりHIPECの有用性については未だcontroversialである.一方,治療方針決定に際しては術前診断が重要となるが,大腸癌腹膜播種の術前診断の精度は未だ不十分である.本シンポジウムでは大腸癌腹膜播種に対する治療成績のみならず,術前・術中診断についてもご報告いただきたい.予後指標となるような腹膜播種分類に関する演題も歓迎する.

シンポジウム3「炎症性腸疾患関連腫瘍の診断と治療」
司会:

小林 清典

北里大学医学部 新世紀医療開発センター

内野 基

兵庫医科大学 消化器外科学講座

司会の言葉

シンポジウム3
「炎症性腸疾患関連腫瘍の診断と治療」

 炎症性腸疾患患者の増加とともに炎症性腸疾患関連腫瘍も増加している。潰瘍性大腸炎においてはSurveillance内視鏡の重要性が広く認知され早期診断に貢献しているが、拡大内視鏡観察の活用法やsporadic cancerとの鑑別など検討すべき課題が残っている。また内視鏡的切除では、適応病変の選定や安全性の評価などの検討が必要である。クローン病では直腸肛門部癌が多く、サーベイランス法としてMRIや麻酔下の生検が推奨されているものの早期診断、予後改善など未解決の課題がある。両疾患ともに進行癌である場合にはsporadic大腸癌に準じた補助化学療法が行われることが多いと推測されるが、colitis-associated cancerでの効果は明らかではない。本シンポジウムでは、炎症性腸疾患関連腫瘍の診断、治療、予後改善など各施設の取り組みを示していただき、解決すべき問題点について議論し次世代への課題を示していただきたい。今後さらに増加すると考えられる炎症性腸疾患関連腫瘍の、診断や治療成績向上の一助となることを期待する。

シンポジウム4「クローン病の内科的治療と外科的治療」
司会:

松本 主之

岩手医科大学消化器内科

池内 浩基

兵庫医科大学 炎症性腸疾患外科

司会の言葉

シンポジウム4
「クローン病の内科的治療と外科的治療」

脾湾曲部切除を伴う結腸癌の切除は、支配動脈のバリエーションが多く、リンパ流の方向も画一ではないために至適リンパ節郭清範囲が症例によって異なる。またS状-下行結腸や横行結腸の長さや固定範囲によって授動の範囲や再建方法も大きく影響される。
加えて、膵臓、脾臓が隣接しているため、他部位では発生しない思わぬ術中合併症をひき起こす可能性があり、結腸切除の中では難易度が高い手術と考えられている。本セッションでは、各施設における症例に応じたアプローチ方法、リンパ節郭清範囲、結腸の授動範囲、再建方法の考え方とその中でのKnack&Pitfallsおよび成績について示していただきたい。

シンポジウム5「他臓器浸潤大腸癌に対する低侵襲手術」
司会:

山口 茂樹

東京女子医科大学 下部消化管外科

池田 正孝

兵庫医科大学 下部消化管外科

司会の言葉

シンポジウム5
「他臓器浸潤大腸癌に対する低侵襲手術」

他臓器浸潤大腸癌はR0切除を行うことで根治の可能性がある。その際は他臓器合併切除が必要となり大きな侵襲をともなう。近年、鏡視下手術の普及により低侵襲手術による他臓器合併切除が行われるようになってきた。低侵襲手術による他臓器合併切除術の適応・術式に関してはまだ統一されていない。また、低侵襲手術では開腹手術に比べ周術期合併症・術後QOLの改善がみられる可能性があるが十分検討されていない。本セッションでは、低侵襲他臓器浸潤大腸癌手術の適応・術式ならびにその意義に関して論じていただきたい。

ビデオシンポジウム1「脾弯曲部切除を伴う結腸癌に対するKnack&Pitfalls」
司会:

古畑 智久

聖マリアンナ医科大学東横病院 消化器・一般外科

斉田 芳久

東邦大学医療センター大橋病院外科

司会の言葉

ビデオシンポジウム1
「脾弯曲部切除を伴う結腸癌に対するKnack&Pitfalls」

脾湾曲部切除を伴う結腸癌の切除は、支配動脈のバリエーションが多く、リンパ流の方向も画一ではないために至適リンパ節郭清範囲が症例によって異なる。またS状-下行結腸や横行結腸の長さや固定範囲によって授動の範囲や再建方法も大きく影響される。加えて、膵臓、脾臓が隣接しているため、他部位では発生しない思わぬ術中合併症をひき起こす可能性があり、結腸切除の中では難易度が高い手術と考えられている。本セッションでは、各施設における症例に応じたアプローチ方法、リンパ節郭清範囲、結腸の授動範囲、再建方法の考え方とその中でのKnack&Pitfallsおよび成績について示していただきたい。

ビデオシンポジウム2「痔核手術の工夫(ビデオ)」
司会:

八子 直樹

医療法人桜樹会 八子医院 外科

岡本 欣也

JCHO東京山手メディカルセンター 大腸肛門病センター

司会の言葉

ビデオシンポジウム2
「痔核手術の工夫(ビデオ)

肛門疾患(痔核,痔瘻,裂肛)・直腸脱診療ガイドライン2020年版(改定第2版)が発刊され,また痔核の外科治療については昨年の本学会にて治療の標準化を目指したシンポジウムが開かれた.現状では痔核治療についてはクリニックから専門病院まで各施設において診療形態に応じて,結紮切除術(LE),ALTA療法,ALTA併用療法,痔核結紮療法,PPH,ACL,Mu-RALなど多岐にわたる術式が行われている.今回のシンポジウムでは各施設が取り組んでいる痔核手術をビデオにてご提示いただき,手術の工夫を中心にその適応、治療成績、有用性や課題などについて報告いただきたい.本シンポジウムから明日からの臨床に役立つ,痔核手術のさらなる標準化と治療成績の向上を目指した議論につなげたいと考えている.

パネルディスカッション1「肛門手術後の肛門機能の客観的評価法」
司会:

辻 順行

高野病院

山口 トキコ

マリーゴールドクリニック

司会の言葉

パネルディスカッション1
「肛門手術後の肛門機能の客観的評価法」

 肛門の手術は、根治性が高くかつ機能が十分に温存されることが求められる。通常は術直後に肛門内圧の低下を認めるものの改善していくが、肛門括約筋への侵襲が高い手術では回復度は低く、括約筋温存術では回復は早い。また術式だけでなく、部位によって括約筋のダメージの程度も変わってくる。低位筋間痔瘻(開放術)術後1年目に肛門トーヌスに関するアンケートを行ったところ、前方、側方では、後方に比較して有為な低下を認めたという報告がある。痔瘻の手術に限らず、裂肛に対するLSIS、SSG、内痔核における結紮切除においても術後のincontinenceに留意する必要がある。肛門機能検査として内圧検査の他、肛門エコー、排便造影、神経伝導速度などがあるが、術後の肛門機能をより客観的に評価するための有効な検査法やそのための工夫など、各演者から結果を提示していただき有益なパネルディスカッションにしたいと考えている。

パネルディスカッション2「T1大腸癌の治療戦略」
司会:

上野 秀樹

防衛医科大学校 外科

永田 信二

広島市立安佐市民病院 消化器内科

司会の言葉

パネルディスカッション2
「T1大腸癌の治療戦略」

大腸癌治療ガイドライン2022年版が発刊されたが,T1大腸癌の治療指針に大きな改訂はない。cT1高度浸潤癌の治療方針は外科的切除とされ,内視鏡的治療にて切除されたpT1癌に追加腸切除を考慮する基準として,①pT1b,②脈管侵襲陽性,③低分化腺癌,印環細胞癌,粘液癌,④浸潤先進部の簇出BD2/3の4項目が挙げられている。
近年では,③に新しい診断基準を設けることにより,リンパ節転移リスクを1~2%まで絞り込めることが報告されるなど,新たなリスク因子への関心が高まっている。また実臨床において,pT1b症例に対しても自施設の基準に照らし合わせて経過観察を選択する施設や,化学放射線治療の選択肢を設ける施設もある。さらに,cT1癌の深達度診断,内視鏡的手技や外科手術のいずれにも,新たな有望な方法が数多く報告されている。一方,新しいリスク因子や診断・治療法の有用性に関するエビデンス蓄積は今後の課題であり,内視鏡治療後の至適サーベイランスや再発時のサルベージ治療成績の実態も十分に理解されているとは言い難い。 本パネルディスカッションでは,大腸癌治療ガイドラインの次期改訂を見据え,T1大腸癌の治療戦略に関する現時点での課題と解決策について学際的な討論を期待する。

パネルディスカッション3「潰瘍性大腸炎における内科治療の限界と外科治療のタイミング」
司会:

渡辺 憲治

兵庫医科大学 炎症性腸疾患センター 内科

板橋 道朗

東京女子医科大学 外科学講座 炎症性腸疾患外科学分野

司会の言葉

パネルディスカッション3
「潰瘍性大腸炎における内科治療の限界と外科治療のタイミング」

 潰瘍性大腸炎における新規薬剤の開発は目覚ましく、新規薬剤の参入が続いている。こうした薬剤の多くは厚生労働省の診断基準における中等症から重症の症例を主な治療対象としているが、劇症など最重症例に対する治療は近年、あまり変化していないように思える。内科治療の進歩により内科治療の効果不十分による手術例が減少してきていると言われているが、最重症例での内科治療の進歩や外科治療への見極めの進歩は如何だろうか?
 また中等症程度の症例でも、高額な各種治療が比較的行い易い本邦だからこそ、内科治療の限界の適切な見極めが必要なのではないだろうか?特に感染症や悪性腫瘍などのリスクが高い症例での内科治療やその見極めは如何だろうか?
 本パネルディスカッションでは、こうした近年の潰瘍性大腸炎の内科、外科治療の諸問題に双方からchallengingな演題応募を頂き、会場を含めinteractiveに討論して参りたい。

パネルディスカッション4「画像診断に基づく直腸癌の術式選択」
司会:

濱田 円

関西医科大学附属病院 消化管外科

須並 英二

杏林大学医学部消化器一般外科

司会の言葉

パネルディスカッション4
「画像診断に基づく直腸癌の術式選択」

大腸ESDはが保険収載されて10年を経たが,未だ比較的高難度の手技であり,その難易度を規定する因子として,治療対象病変に対するスコープの操作性と線維化の程度があげられている。しかし最近では,各種フードやナイフ,局注液,治療専用スコープ,高周波電源装置,バルーンオーバーチューブ,病変のトラクションデバイスなどの開発,hybrid ESD,pocket-creation methodなどを含めた様々な技術的工夫によって大腸ESDの難度は低下してきた。また,切開・剥離手技のみならす,偶発症としての穿孔に対する縫縮術,出血の予防や止血術,それに関連したデバイスの開発や工夫も進められている。本セッションでは,大腸ESDに関する手技の工夫や新たな試みに関してビデオも含めてその有用性を提示頂き,大腸ESD手技の今後の展望について議論したい。

パネルディスカッション5「直腸癌術前集学的治療の成績:Watch & Waitを含めて」
司会:

馬場 秀夫

熊本大学大学院 消化器外科学

橋口 陽二郎

帝京大学医学部外科学講座

司会の言葉

パネルディスカッション5
「直腸癌術前集学的治療の成績:Watch & Waitを含めて」

局所進行直腸癌に対し、欧米を中心に術前化学放射線療法(CRT)が、局所再発制御に有利な標準的治療として行われてきた。近年は術前化学療法とCRTを併用したTotal neoadjuvant therapy(TNT)の治療成績が報告されてきた。TNTは従来のCRTと比較して、高い病理学的complete response(CR)率と、遠隔転移制御を背景とした長期予後の改善が得られることが示されている。さらに近年、術前治療後のclinical CR症例に対するWatch & Waitアプローチの有効性が報告されている。手術治療+術後補助化学療法が標準治療である本邦でも、直腸癌に対する治療戦略は徐々に多様化してきている。本セッションではWatch & Wait を含めた局所進行直腸癌に対する術前集学的治療の成績治療成績を示して頂き、今後我々が進むべき方向性ついて討論していただきたい。

パネルディスカッション6「大腸ESD手技の工夫」
司会:

田中 信治

広島大学大学院医系科学研究科 内視鏡医学

樫田 博史

近畿大学医学部消化器内科

司会の言葉

パネルディスカッション6
「大腸ESD手技の工夫」

大腸ESDはが保険収載されて10年を経たが,未だ比較的高難度の手技であり,その難易度を規定する因子として,治療対象病変に対するスコープの操作性と線維化の程度があげられている。しかし最近では,各種フードやナイフ,局注液,治療専用スコープ,高周波電源装置,バルーンオーバーチューブ,病変のトラクションデバイスなどの開発,hybrid ESD,pocket-creation methodなどを含めた様々な技術的工夫によって大腸ESDの難度は低下してきた。また,切開・剥離手技のみならす,偶発症としての穿孔に対する縫縮術,出血の予防や止血術,それに関連したデバイスの開発や工夫も進められている。本セッションでは,大腸ESDに関する手技の工夫や新たな試みに関してビデオも含めてその有用性を提示頂き,大腸ESD手技の今後の展望について議論したい。

ビデオパネルディスカッション1「下部消化管救急症例における腹腔鏡手術の位置づけ」
司会:

山本 聖一郎

東海大学消化器外科

田中 慶太朗

大阪医科薬科大学 一般・消化器外科

司会の言葉

ビデオパネルディスカッション1
「下部消化管救急症例における腹腔鏡手術の位置づけ」

下部消化管救急症例に対する腹腔鏡手術は、適応を選んで効果的に利用すれば、低侵襲手術の利点を最大限に活かすことが可能である。一方で、炎症、癒着、腸管の拡張、腹水の存在など複雑な腹腔内の状況に遭遇して、開腹移行する症例も経験する。現状では各施設の判断基準で急性虫垂炎、大腸憩室症、IBD、腸閉塞症、NOMI(non-occlusive mesenteric ischemia)などの良性の急性腹症のみならず閉塞性大腸癌など多くの救急疾患に対しての腹腔鏡手術が行われている。本セッションでは、各施設での手術ビデオの提示を含め、手術適応、手技の要点、ピットフォール、手術成績などをお示しいただきながら、下部消化管救急症例における腹腔鏡手術の位置づけについて、明日からの臨床に有益なディスカッションを期待したい。

ビデオパネルディスカッション2「ロボット手術がもたらす大腸外科の将来」
司会:

竹政 伊知朗

札幌医科大学 消化器・総合、乳腺・内分泌外科

絹笠 祐介

東京医科歯科大学消化管外科学分野

司会の言葉

ビデオパネルディスカッション2
「ロボット手術がもたらす大腸外科の将来」

2009年に本邦初のロボット大腸癌手術が行われた以降、しばらくは自由診療のもとで普及の妨げになっていたが、2018に直腸癌に対するロボット支援下手術が保険承認された以降、施設数、手術件数ともに大幅に増加している。最近では拡大手術への適応や結腸癌への導入もなされてきている。一方でロボット支援手術特有のトラブルやエビデンスの不足、加点がないことなど、ロボット支援手術の問題も未だ解決できていないことが多い。本セッションでは、各施設で手術手技を動画で供覧頂くとともに、ロボット支援手術が何をもたらしたのか?もたらすのか?ご討論頂きたい。

ワークショップ1「下部消化管手術におけるSSI対策」
司会:

問山 裕二

三重大学大学院 消化管・小児外科

上神 慎之介

広島大学病院消化器外科

司会の言葉

ワークショップ1
「下部消化管手術におけるSSI対策」

下部消化管手術は、他の部位と比較し切開創や臓器・体腔の手術部位感染(surgical site infection:以下SSI)発生のリスクが高く、発生すると在院日数が延長し、医療費の増加、患者の術後QOLや予後の低下につながる。SSI予防のためには、予防的抗菌薬使用の抗菌薬選択や適正投与期間についてコンセンサスが得られ、腸管前処置においても、SSI抑制に対する経口抗菌薬併用の有効性が示されてきている。一方、直腸癌手術におけるSSIと腹腔内膿瘍や縫合不全予防に対する骨盤内ドレーン留置や、経肛門的ドレーンの使用の有効性についても報告されている。さらにSSI制御として創部への治療的、予防的局所陰圧療法が注目されている。またSSI発生は複数の要素が関与する為、“バンドル”による周術期管理が実施されているのが現状である。このような背景から大腸癌手術におけるSSI発症の新たなリスク評価法や、それぞれの施設のSSI予防に対する周術期管理とその成績について発表いただきたい。

ワークショップ2「骨盤臓器脱に対する治療戦略」
司会:

梅枝 覚

JCHO四日市羽津医療センター 外科

山名 哲郎

JCHO東京山手メディカルセンター 大腸肛門病センター

司会の言葉

ワークショップ2
「骨盤臓器脱に対する治療戦略」

骨盤臓器脱(pelvic organ prolapse:POP)は骨盤内臓である直腸・子宮・膀胱が下垂・脱出してくる疾患であり、直腸脱・直腸瘤・子宮脱・膀胱瘤などがある。骨盤内の臓器を支える骨盤底を構成している筋肉や靭帯が弱くなるために、臓器が下垂してくる病気である。保存的治療には骨盤底筋体操・生活指導などがあるが、QOL悪化症例には手術が選択されている。他科との連携も必要となり、施設の条件にも左右され、さまざまな術式が行われている。アプローチ法では経肛門的手術・経膣的手術・経腹的手術などが選択されている。また高齢者に多い疾患でもあり、根治手術とリスクを考慮した手術も行われている。メッシュを用いた手術も欧米と国内では適応が異なり、エビデンスに乏しい。実臨床においては、保存的治療も含め、いかにして診断と治療において高いQOLを得ることができるか、治療戦略を述べていただきたい。

ワークショップ3「困難な状況下でも良いストーマを造設する手技」
司会:

赤木 由人

久留米大学 外科

遠藤 俊吾

福島県立医科大学会津医療センター 大腸肛門外科

司会の言葉

ワークショップ3
「困難な状況下でも良いストーマを造設する手技」

ストーマを保有することは、たとえ一時的であっても、患者さんの心理的・肉体的負担は大きい。初回手術例であれば、多職種が介入し、ストーマサイトマーキングを行うことで、心理的な不安を軽減し、皮膚障害の評価を行い、良いストーマを造ることが期待できる。しかし、緊急手術などの際には、ストーマサイトマーキングがされていない、あるいは不適切な場合にも遭遇する。また、高度肥満症例や腹膜炎などで挙上腸管にも炎症が波及した場合など、マーキングした位置で腹腔外に引き出せないことも経験する。横行結腸の双孔式ストーマ造設、polysurgeryを受けたIBD症例や腹膜播種でストーマの位置に苦慮することがある。
 管理困難なストーマの多くが早期の粘膜皮膚離開、造設位置やストーマ高に起因するとされることから、ストーマ造設が困難な状況下における手術手技の工夫について、発表していただき、より良いストーマを議論していただきたい。

ワークショップ4「大腸癌診療におけるがんゲノム医療の位置付け」
司会:

隈元 謙介

香川大学医学部 消化器外科

山田 岳史

日本医科大学 消化器外科

司会の言葉

ワークショップ4
「大腸癌診療におけるがんゲノム医療の位置付け」

大腸癌の化学療法においてコンパニオン診断が確立しているなかで、包括的ゲノムプロファイリング(CGP: comprehensive genomic profiling)として、がん遺伝子パネル検査による多数のがん遺伝子のバリアント解析が行われるようになった。標準治療後のCGPによる新たな治療の可能性は少ないことが報告されているものの、2021年8月からリキッドバイオプシー検査によるがん遺伝子パネル検査も保険収載された。これらCGPが、進行再発大腸癌患者の治療にどの程度貢献しうるものなのか、今後大腸癌診療にどのような影響をもたらすことが期待されるのか、これまでの検査成績をフィードバックして今後の位置付けを議論していただきたい。

ワークショップ5「大腸手術後の癒着性腸閉塞の予防対策と治療指針」
司会:

石田 秀行

埼玉医科大学総合医療センター 消化管・一般外科

惠木 浩之

愛媛大学 消化管腫瘍外科学

司会の言葉

ワークショップ5
「大腸手術後の癒着性腸閉塞の予防対策と治療指針」

大腸手術後の癒着性腸閉塞の防止対策や治療についてはさまざまな工夫がなされてきた。特に、骨盤内剥離面に強固に癒着した場合では小腸大量切除や人工肛門造設等が必要となることも多く、患者のQOLに大きく影響を及ぼす。腹腔鏡下手術あるいはロボット支援手術の普及に伴い、癒着性腸閉塞の頻度が軽減した可能性はあるが、現状の把握は不十分である。各施設あるいは多施設共同研究における癒着性腸閉塞を軽減する取り組みや治療方針を示して頂き、癒着の予防と治療に関するベストプラクティスについて討論いただきたい。

ワークショップ6「AIを用いた大腸診療の進歩」
司会:

冨樫 一智

福島県立医科大学会津医療センター小腸・大腸内科

米田 頼晃

近畿大学医学部消化器内科

司会の言葉

ワークショップ6
「AIを用いた大腸診療の進歩」

AI(人工知能)は顔認証システム・自動車の自動運転などその役割を広げつつあり、生活の中にも入り込んできている.医療の分野も例外ではなく、内視鏡・CT・病理などの画像診断、手術支援や遠隔ロボット手術などの外科診療、ゲノム医療、医薬品開発など様々な局面においてAI技術は応用され発展してきている.特に、画像診断におけるAI技術は他領域を圧倒し、実用化の域に達しているものもある.医療従事者の人材不足や経験不足が問題となっている現状では、医療AIは患者・医療従事者の双方にとってきわめて大きなメリットをもたらすことが期待される.本ワークショップでは、大腸診療に関わるAI技術について現在、取り組まれている研究開発を紹介していただき、本領域における将来展望と課題を明らかとしたい.内視鏡・CT・病理などの画像診断に限らず、外科診療領域における先進的発表も歓迎する.

ビデオワークショップ1「大腸憩室疾患の治療戦略:内科的治療、外科的治療を含めて」
司会:

船橋 公彦

東邦大学医学部外科学講座 一般・消化器外科学分野

的場 周一郎

虎の門病院消化器外科 消化器外科

司会の言葉

ビデオワークショップ1
「大腸憩室疾患の治療戦略:内科的治療、外科的治療を含めて」

近年、本邦では生活スタイルの欧米化と高齢化社会により大腸肛門病医が日常に遭遇することが非常に多い疾患となっている。大腸憩室症の病態は、憩室出血や憩室炎、それによる狭窄、瘻孔など多岐に渡っており、治療戦略もそれぞれ異なっている。憩室出血では、主に内視鏡やIVRが主体であり、憩室炎では、その状況において内科的治療から外科的治療まで幅広く、憩室症が原因である狭窄、瘻孔症例では手術療法が主体となっている。治療にかかわる科や手術手技、アプローチ法などそれぞれ施設間での適応や治療方法も異なっている。
本ビデオワークショップでは,大腸憩室疾患の治療戦略として、内科、外科問わず幅広く演題応募いただき,さまざまな問題点に関して議論を行いたい。

ビデオワークショップ2「腹腔鏡下結腸切除における体腔内吻合のpros and cons」
司会:

勝又 健次

東京医科大学 消化器小児外科学分野

坂本 一博

順天堂大学 下部消化管外科

司会の言葉

ビデオワークショップ2
「腹腔鏡下結腸切除における体腔内吻合のpros and cons」

近年、腹腔鏡下結腸切除における体腔内吻合の有用性が報告されてきている。その理由として、腸管授動範囲や皮膚切開創の縮小による患者負担の軽減などが挙げられており、脾曲などの腫瘍占居部位、肥満症例、開腹歴症例などに有効な手技として認識されている。しかし一方で吻合時に腸管腔を開放することによるSSI(手術部位感染)や播種などの危険性も指摘されている。そこで、各施設における適応として、腫瘍占居部位・患者背景と吻合方法の選択、感染やimplantation予防などの手技上の問題点や工夫、さらには手術成績を示していただき、腹腔鏡下結腸切除における体腔内吻合における長所・短所および今後の展望に関して発表していただきたい。

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