第56回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会 第56回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会

ご挨拶

第56回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会 西田 淳

第56回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会

会長 西田 淳

(東京医科大学 整形外科学分野 教授)

この度、第56回日本整形外科学会骨・軟部腫瘍学術集会を2023年7月13日(木)・14日(金)の日程で、東京都新宿区(京王プラザホテル)で開催させていただきます。伝統ある本学術集会を東京医科大学整形外科学分野が担当させて頂きますことを真に光栄に存じております。山本謙吾主任教授をはじめ医局員一同が、同門会(柏整会)各位の御協力のもと、準備に取り組んでおります。東京医科大学整形外科学分野が日本整形外科学会の学術集会を担当させて頂きますのは、第31回学術総会を野崎寛三教授、第28回骨・軟部腫瘍学術集会を三浦幸雄教授、そして第35回基礎学術集会を山本謙吾主任教授が担当させて頂きましたのに続きまして4回目となります。比較的短期間に東京医科大学整形外科学分野が、日本整形外科学会の学術集会を複数回担当させて頂きますことは、当医局にとりまして大変名誉なことと思っておりますし、また、本当に有意義な学会にする必要があると考え、身が引き締まる思いでおります。

骨・軟部腫瘍領域の患者さんの生命予後、機能予後は近年著明に改善されてきております。しかし、患肢機能のみならず、精神的機能、妊孕性の維持等も併せて、まだまだ改善されるべき点がたくさんあると考えられます。すなわち、人間として、そして生き物として、トータルに生きる質を向上できるよう、考えられ、そして議論されるべき課題が山積していると考えられます。近年ゲノム医療の進歩等に伴い、がん患者さんの予後が改善して来ており、それは骨・軟部腫瘍の領域にも及びつつあります。また画像診断の精度にも進歩がみられ、加えて遺伝子解析の発展に伴い疾患概念も変化しつつあり、それに従ってWHO 分類が改訂されております。日常診療においては、今後更なる進歩・発展が見込まれる多くの内容を吸収しつつ、画像診断、組織診断、化学療法、手術、リハビリテーション、緩和医療を併せたチーム医療を進めていくことも極めて重要で、これはいわゆるJaffeのトライアングルに通じると感じております。このため学会のテーマを、「骨軟部腫瘍治療の未来:Jaffe のトライアングルに立ち返りながら」とさせて頂きました。このテーマに沿ってシンポジウム、パネルディスカッション、教育講演を考えさせて頂いております。

招待講演としてMayo ClinicのPeter S. Rose先生に関節機能再建術について、Mount Elizabeth Medical CenterのSaminathan Suresh Nathan先生 に小児骨腫瘍の外科的療法について、Padova 大学のPietro Ruggieri先生に骨盤腫瘍の治療について、ACR Institute for Radiologic Pathology のMark D. Murphey 先生に骨軟部腫瘍の画像診断について、British Columbia大学のTorsten O. Nielsen 先生に軟部腫瘍の分子病理学診断と治療への応用について、Harvard 大学Dana-Farber 研究所のCigall Kadoch 先生に遺伝子診断についてのご講演を頂く予定です。いずれの先生方も皆様ご存知の先生方です。じっくり御講演を聞いて頂き、今後の糧として頂ければと考えております。

教育講演を、骨転移に関連する内容、がん患者さんの精神科領域の問題、妊孕性温存、処理骨による再建、分子標的療法、2020年に改訂されたWHO分類に関連する内容につきまして、各々の領域でご造詣の深い先生方にお願い致しました。ご参会の先生方の日常診療に反映されればと考えております。

シンポジウムには、「上肢悪性骨・軟部腫瘍の再建術:課題と対策」、「骨・軟部腫瘍の教育と専門医育成」、「小児骨・軟部腫瘍の治療:進歩と課題」、「骨・軟部腫瘍領域におけるゲノム医療の現状と未来」、「これからの生物学的再建」、「骨修飾剤の功罪」を取り上げ、パネルデイスカッションでは「がんロコモのこれから」、「骨・軟部腫瘍に対する重粒子線療法の現状と課題」、「骨転移とどのように向き合うか」、そして現在の我々にとり重要な問題である「Pandemic下の骨・軟部腫瘍医療」について論じたいと考えました。いずれも私たちの日常診療において身近で重要な問題であり、経験豊富なシンポジスト、パネリストの先生たちのお考えを伺えればと考えております。

また各領域の第1人者の先生方から、骨軟部腫瘍の画像診断、病理診断、切除縁、機能再建法、化学療法、ゲノム解析に関して「Jaffe のトライアングルセミナー」として御講演を頂きます。出来るだけ多数の会員の皆様に受講いただければと思っております。

7月半ばの東京は暑さの厳しい時期ですが、建物の中は涼しいですので、上着もお持ちください。コロナに負けない熱い討論が出来ればと思っております。多数の先生方のご参会を心からお待ち致しております。

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