大会長挨拶
第7回日本在宅医療連合学会大会
大会長 安中 正和
安中外科・脳神経外科医院 院長
大会長 白髭 豊
白髭内科医院 院長
この度、第7回日本在宅医療連合学会 大会を長崎市で開催することとなりました。長崎在宅Dr.ネットの事務局長が白髭豊から安中正和に世代交代を体現し、未来に向けた大会の共同大会長として開催できることを、大変嬉しく光栄に思います。
テーマは、「在宅医療の未来を語ろう〜2025年問題に向き合い、2040年に備える〜」としました。これまで、団塊の世代が75歳の後期高齢者となる2025年に備え、「地域包括ケアシステム」の構築が推進され、在宅医療はその中心として重要な役割を果たしてきました。2025年度以降も75歳以上の人口は引き続き増加し、医療と介護の複合ニーズを持つ者が一層多くなります。そして、全国での在宅患者数は、2040年以降にピークを迎えると見込まれています。しかしながら、支え手である現役人口は大幅に減少し、厳しい人材不足に直面するでしょう。この厳しい局面を乗り越えるためには確固としたビジョンと対策を作ることが望まれます。今大会では、2025年までの在宅医療を総括し、来るべき2040年への道標を示したいと考えております。
長崎在宅Dr.ネットの取り組みは、診療所同士の連携の先駆的なモデルとして全国に広がり、各地で同様のネットワークが構築されてきました。しかし、それだけではなく、地元の地域連携を強化し、医師、看護師、薬剤師、ケアマネージャーなど多職種が一体となって在宅患者を支える仕組みを、和気藹々と楽しみながら作り上げてきました。ところが、近年長崎市は急速な診療所の減少で、郊外の医療過疎化が目立っており、診療所空白地域で病院からの在宅医療が大きな役割を担うようになってきました。医療環境の変化に合わせて、2040年に向けて持続可能な社会を構築するために、病院医師の在宅医療への参入を促進するなど若い世代への教育や啓発活動を図りつつ、長崎の在宅医療の未来を築いていきたいと考えております。
メインシンポジウムの一つとして「地域包括ケアシステムの深化」としました。
以前からある、病院・診療所・多職種連携は当然として本来の意味での地域リハビリテーションの確立として如何に生活を支えるかと言う事、専門職以外・一般市民等を如何に巻き込んでいくか、地域での場所づくりなどを「点で支える」から「面で支える」と言う視点が必要と考えております。
一方、多職種連携他に関しても人材不足や地域偏在に関する対応として情報の共有化の推進が必要と考えられ、IT活用が必須であり、簡便かつセキュリティを確保したネットワーク構築が求められています。長崎独自の展開を行政と協働で推進していくことになっており、長崎で育んできたことの纏めと今後の方向性が示されればと考えています。このようなシンポジウムが日本の在宅医療の未来へのヒントなるように発信します。
さらに、介護施設などは今後も在宅医療の重要な拠点となるのは言うまでもありませんが、施設によって対応が様々であります。昨今のコロナ感染症で色々な問題が露呈されました。介護職員の離職なども大きな問題の一つです。すぐに大きな改善策が出るとは思いませんが、多職種協働の一つとして何か方策がないか模索していくことが重要です。医師だけではなく、介護関係の方の積極的な取り組みや異業種の方からのご提案なども大いに歓迎します。
長崎は、歴史と文化が豊かで、多くの魅力的な観光スポットがあります。例えば、世界遺産に登録されたグラバー園や出島、平和公園、そして美しい夜景が広がる稲佐山など、見どころが満載です。また、地元の美味しい料理や温かいおもてなしも楽しんでいただけることでしょう。全員懇親会でも長崎らしさを前面にだした企画が満載です。この機会に、ぜひ長崎の素晴らしい風景や文化を満喫していただきたいと思います。
本大会が、過去の知恵と経験を継承しつつ、現在の課題に真摯に向き合い、未来への明確なビジョンを描く場となることを心から願っております。参加者の皆様が活発な議論を通じて新たな発見やインスピレーションを得られることを期待しております。