大会長挨拶
第110回日本泌尿器科学会総会
大会長 野々村 祝夫
大阪大学大学院医学系研究科
器官制御外科学講座 (泌尿器科学) 教授
第110回日本泌尿器科学会総会は当初2022年4月に予定しておりましたが、コロナ感染拡大の影響を受け、1年延期の後2023年4月に神戸にて開催させていただくことになりました。
メインテーマを「Ever Onward~限りなき前進~」とさせていただきました。これは、1912年に日本泌尿器科学会の前身である日本泌尿器病学会が開設されて以来、これまで本学会が常に新しいものを追い求めて前進を続けてきたからです。そして、サブタイトルを①First Penguin、②Scrap and Build、③Cross Innovationの3つといたしました。前進するためには新しいものにチャレンジする気持ちが必要です。誰もがやっていないことを始めるには勇気が必要です。ペンギンが雛のための餌を獲るべく荒海に飛び込む様を表現したのが「First Penguin」です。また、古きものを取り壊して新しいものを創造していくことも大切です。元々あったものを基礎として、その良さを残しつつ新しいものに造り変えていくという進化の過程を表したのが「Scrap and Build」です。そして、分野横断的、領域横断的な取り組み、産学官の連携によって得られる進歩が医療を変えてきたと言えます。日常の臨床、医学研究の発展の為には他領域との交流による情報の共有が重要です。これがすなわち「Cross Innovation」です。産学官連携から生まれる、将来の泌尿器科診療に直結するような研究やプロジェクトを多く紹介したいと考えています。広い展示会場を有効に使うことで、オンサイトでの企業とアカデミアの直接交流を図りたいと考えております。ご参加の皆様が展示会場に足を運んでいただけるような企画を展示会場でも準備いたします。楽しみにしていただければと思います。
今回の総会では、国際化促進のため、抄録の完全英語化、発表スライドやポスターの英語化を行います。また、ダイバーシティ推進の観点から、女性演者や司会の積極的な登用を図ることにいたしました。これらの試みは本学会におけるFirst Penguinであり、Ever Onwardにつながると信じています。
コロナ禍を経て、オンラインあるいはハイブリッドでの学会が定着しつつありますが、現地でのface to faceの学会、議論、交流がやはり学会の本来の良さではないかと考え、少しでも多くの会員の皆様に現地にお越しいただけるよう、メインテーマ、サブテーマに沿った様々な企画を準備いたしました。現地参加の醍醐味を存分に味わっていただけるような魅力ある日本泌尿器科学会総会にしたいと思いますので、よろしくお願い申し上げます。