第61回日本形成外科学会総会・学術集会

会長挨拶

清川 兼輔 写真
  • 第61回日本形成外科学会総会・学術集会
  • 会長 清川 兼輔
  • (久留米大学医学部形成外科・顎顔面外科学講座 主任教授)

この度第61回日本形成外科学会総会・学術集会を,私共の久留米大学形成外科・顎顔面外科学講座で主催させていただきますこと,光栄の至りと存じますとともに,会員の皆様方を始め関係各位に深く感謝申し上げます。本学会は前回大阪大学(細川会長)が主催された60回で還暦を迎え,また日本専門医機構からは基本診療科としてのお墨付きをいただき,更なる発展に向けて大きな一歩を踏み出しました。今後はより多くの形成外科医を世に輩出し,全国民がもれなく形成外科的治療技術の恩恵を享受できる世の中にしていくことが我々の使命と考えています。

さて,第61回の本学術集会では,テーマを「Recovery」と致しました。形成外科の治療の目的は,その原因が外傷であれ先天性であれ,はたまた手術などの人的行為であれ,できるだけ正常に近い状態に回復(リカバリー)することです。すなわち,形成外科は機能と整容をRecoveryする科であり,「Surgery of Recovery」と言えます。Recoveryをより完成度の高いものにし,患者さんのQOL(Quality of Life)の向上に努めていくことこそが真の形成外科のあるべき姿と考え本大会のテーマと致しました。

そこで第61回の本学会では,特別講演として原爆乙女のお一人笹森恵子様による「広島での被爆とアメリカでの治療経験(仮)」,日本医師会長(3期目)で世界医師会会長でもあられる横倉義武先生による「今後の日本医療(仮)」を,招待講演としてASPSの理事長,韓国形成外科学会理事長,アメリカの臨床解剖学(clinical anatomy)の第1人者であられるR.Shane Tubbs先生,脂肪注入療法の第1人者であられるアメリカのRoger Khalil Khouri先生を御招聘する予定です。特に広島での被爆者であられる笹森様は,戦後極秘裏にアメリカで原爆被爆後の瘢痕治療を受けられた方で,今もロサンゼルスに御健在です。まさに,その技術を学ぶために,難波雄哉先生を始めとした日本の形成外科学会のレジェンドたちがその当時アメリカに渡ったと聞いております。日本の形成外科の起源(origin)が,まさにここにあります。また,横倉義武先生はこの度第3期目の日本医師会会長に就任され,故武見会長に次ぐ長期政権を堅持されており,日本の医師会の発展に多大な尽力をされています。今は世界医師会会長も兼任されており,日本のみならず世界の医学会のためにも御活躍中です。先生は私の久留米大学の大先輩で,若い頃1年間ほど先生の病院に日勤・当直のアルバイトに行っていたことがあり,当時先生と一緒に夜間の急患手術を行ったこともあります。その先生がとてつもなく偉い方になられたことに正直びっくりしておりますが,昔のよしみであつかましくも御講演の依頼をしましたところ快く引き受けてくださいました。御二人の特別講演を私自身も本当に楽しみにしております。さらに近年私は,手術に直結する「Clinical Anatomy,臨床解剖学」の重要性を強く感じており,あえて基礎学会ではなく臨床中心の本学会にその第1人者であるR.Shane Tubbs先生をアメリカよりお呼び致しました。この分野は今後形成外科にとって極めて重要な学問領域になると信じています。また,昨年日本形成外科学会とASPSおよび韓国形成外科学会との間でMOUが締結され,それぞれの学会から演者を互いに招待しあうことが決まっています。これらの特別・招待講演の他にも,「Recovery」を様々な原因別に分け,それぞれの分野でのシンポジウムやパネルを計画しております。

以上のように,第61回の本学術集会を還暦後の第一歩として大きく踏み出していけるものにしたいと考えています。そして,日本形成外科学会の会員の皆様方全員が,手術が終わった後に心の中で「Nice Recovery!」と叫べることが,しいては患者さんに最高の結果をもたらすことになるのです。来年の4月の本学会の開催に向けて医局員全員で一丸となって準備を進めて参りますので,会員の皆様方におかれましては何卒御協力(学会への御参加)の程宜しくお願い申し上げます。

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