会長挨拶
- 第63回日本神経病理学会総会学術研究会
- 会長 伊東 恭子
- 京都府立医科大学大学院医学研究科 分子病態病理学
第63回日本神経病理学会総会学術研究会を2022年(令和 4年)6月24日(金)から26日(日)までの3日間、京都府立京都学・歴彩館/稲盛記念会館にて開催させていただきます。このたび日本医学会分科会の一つとして、日本における神経病理学研究を担い発展させてきた歴史と伝統のある本学術研究会の会長を拝命し、身に余る光栄と存じます。
さて、京都の地では過去に4度本学術研究会が開催されておりますが、前回は伏木信次教授(京都府立医科大学大学院分子病態病理学)が会長を務められました2011年の第52回学術研究会であり、今回はそれから11年ぶりとなります。
翻りまして、神経病理学の世界におきましては、人工知能を駆使した脳科学研究のめざましい発展の中で、今後進むべき方向が議論される時代を迎えております。そこで、第63回学術研究会では『ニューロパソミクス時代を切り拓く』をテーマとし、国内外の著名な講師をお招きしたプログラムを企画いたします。ゲノミクスに端を発し、遺伝子から個体としての表現型に至るまでの大きな流れを分子の言葉で記載できるようになったオミクス時代から、次の時代への動きが加速されようとしています。即ち、ヒト脳の解析において、形態学を重視する神経病理学を基盤とし、single cell-seqなどから得られる分子生物学的データ、fMRI等の神経画像、疫学を含む臨床情報に加え、遺伝子改変動物や患者由来iPSCsを用いた実験的研究から得られる情報等、様々なビッグデータを総合的に解析することによって、個々人のprecision medicineに還元し得るような神経病理学の未来像が期待されているのではないでしょうか。
脳神経系の病理学の研究に基盤を置く本学会が、ポストオミクス研究がはなばなしく展開される中でどのような役割を果たすべきか、神経科学の中に位置付けられる学問領域としての神経病理学の未来を会員の皆様とともに活発に論じあえる3日間にできればと願っております。
2020年1月以来、パンデミックとなって猛威を振るってきたCOVID-19の終息がまだ見通せない中ではありますが、平安京以来長きにわたり培われました豊潤な文化の薫るまち、京都におきまして神経病理学の学術研究会を開催できますこと、そして多くの参加者がこの京都の地で活発な議論を交わすことができますことを心より願っております。
何卒よろしくご支援賜りますようお願い申し上げます。
2021年6月吉日