このたび第29回日本頭頸部外科学会学術講演会を平成31年1月24日~25日に仙台国際センターにおいて開催させていただくことになりました。本学会を担当する機会を賜りましたこと北野博也理事長をはじめ役員、会員の皆さまに深く感謝を申し上げます。
今回の学会では「先達に学び、新しい技術を培う」を主題とし、頭頸部腫瘍、耳、鼻、咽喉頭の領域において、基本的な治療技術から先進的な手法まで多彩なプログラムを準備することを心がけています。その一部をここに紹介いたします。
先進的な治療技術に関してシンポジウムを3題企画いたしました。
初日午前のシンポジウム1『頭頸部ロボット手術の展開』では、世界的には咽喉頭癌に対する標準治療のひとつとなってきており、国内において本年8月に頭頸部外科領域(経口手術)が承認されたダビンチを用いた手術について、経験豊富な韓国のKyung Tae教授による講演、国内での多施設共同臨床研究の術者を担当した京都大学の楯谷一郎先生、鳥取大学の藤原和典先生による講演、ならびに頭頸部外科学会が今後の保険収載の治療に向けた指針・術者の育成について学会の委員会から解説をしていただきます。
初日午後のシンポジウム2『頭頸部鏡視下手術の新技術』では、久留米大学の千年俊一先生に経口的な輪状咽頭筋切断術を、筑波大学の田中秀峰先生に経鼻的な頭蓋底手術について、世界をリードする技術を紹介していただきます。
二日目午後のシンポジウム3『頭頸部外科の新しい技術を培う』では、慈恵会医科大学の山本和央先生と京都大学の岸本曜先生にそれぞれ中耳、気管・喉頭領域における再生医療の開発について、また旭川医科大学の野村研一郎先生には甲状腺疾患に対する内視鏡手術について講演を依頼していいます。
特別講演と招待講演をそれぞれ2題企画いたしました。
初日午前の特別講演1では国立がん研究センター東病院の林 隆一先生に頭頸部手術における心構えについて、二日目午後の特別講演2では東北大学総合外科教授の亀井 尚先生に食道癌手術に関わる術後回復促進についてお話をいただきます。参加者の方々の今後の手術治療に大いに参考になることと思います。
初日午前の招待講演1では、新しい医療を生み出すことに大きく関与している、日本医療研究開発機構の統括役である泉 陽子先生をお招きして研究環境の変化についてお話をいただきます。頭頸部領域の臨床および基礎研究を進める一助にしていただければ幸いです。
初日午後の招待講演2では、喉頭領域の治療で新進気鋭のSeth Dailey博士(Wisconsin大学)に、喉頭の前がん病変に対する低侵襲手術について、多くの経験にもとづいてお話しいただきます。
このほか耳科領域では、人工内耳および耳管機能不全に対する手術に関するパネルディスカッションを企画しています。
今回の学会ではまた、若手の参加者、ならびに各領域の基本的な手術の適応や留意点を聴講されたい方々を対象に、教育セッションの会場を設けました。次の16項目に対して初日と午前午後に一会場で連続して行う予定です。①睡眠障害、②頸嚢・頸ろう、③副鼻腔(篩骨洞・蝶形洞)、④副鼻腔(上顎洞・前頭洞)、⑤乳突削開術、⑥経外耳道内視鏡下耳科手術、⑦耳硬化症、⑧人工内耳、⑨頸部郭清術、⑩喉頭摘出術、⑪周術期管理、⑫臨床統計、⑬唾液腺、⑭嚥下障害、⑮喉頭微細手術、⑯喉頭枠組み手術。各項目30分の構成で、講師にはいずれも現在第一線で活躍中の方々に依頼をいたしました。是非、興味のある領域を選んで聴講していただければありがたく存じます。
最後に手術解剖実習のご案内をいたします。
学会期間中と翌1月26日にかけて、サテライトセミナー『第6回 実践的な耳鼻咽喉・頭頸部外科手術手技研修 in Sendai』を東北大学医学部解剖実習室で行います。頭頸部外科学会参加者の方は見学可能(無料)でございますが、倫理申請の関係から12月末日までのお申込みが必要になります。学会事務局までお問い合わせをいただけますと幸いです。
また、この手術解剖実習から、縦隔郭清術、および人工聴覚器手術について、学会初日午後にライブ中継を行います。
会期の1月下旬は東北地方では寒さのかさむ時期である一方、冬の景色や味覚の素晴らしい時期であり、学会でのご聴講や討議とならんで、市街や近郊の温泉などを訪れていただき、研修と交流をすすめていただければ大変ありがたく存じます。
多くの皆さまのご参加をお願い申し上げます。