第56回日本てんかん学会学術集会を2023年10月19日(木)~10月21日(土) の3日間、京王プラザホテルにおいて開催させていただくこととなりました。
今回のテーマは、「誰も取り残さない医療へ」(Leave no epilepsy patient behind)といたしました。日本のてんかん医療は、これまで精神科、小児科、脳神経内科、脳神経外科など数多くの診療科により担われてきましたが、多くの地域で、どの医療機関がてんかんの専門的な診療をしているのか把握されていない状況が続いています。こうした背景を踏まえ、2018年から厚生労働省と自治体が主体となった、「てんかん地域診療連携体制整備事業(てんかん整備事業)」が本事業として開始されました。てんかん整備事業は、てんかん患者や家族が地域で安心して治療を受けることができるようになること、治療に携わる診療科間での連携や移行期医療が図られやすいようにすること、医療機関だけでなく行政機関、保健所や教育機関等の多職種間の連携の機会を提供し、てんかん医療のすそ野をひろげ、まさに「誰も取り残さない医療」を目指すものです。
てんかん整備事業では国立精神・神経医療研究センター(NCNP)が全国支援拠点機関に指定され、2022年度には、てんかん支援拠点病院が全国都道府県の半数以上に指定設置されるまで事業が進捗いたしました。てんかん整備事業で重要な役割を渡すのが、てんかん診療支援コーディネーターです。NCNPは、てんかん診療支援コーディネーターの教育、育成のためコーディネーター研修・認定制度を開始し、また「てんかん支援ネットワーク」を構築して、全国のてんかん診療を行っている医療施設をNCNPホームページのてんかん整備事業サイトで公開しています。
NCNPがまだ国立武蔵療養所の頃の入院患者会と東京女子医大の福山幸夫先生外来患者家族会が中心となって設立されたのが現在の日本てんかん協会です。2023年度には、日本てんかん協会が設立50周年を迎えます。本学術集会は日本てんかん協会50周年記念総会と連携しながら、てんかん患者、家族、介護者、医療関係者がともに会場に集い、お互いの理解を深め、より良いてんかん診療を目指した学術集会を開催いたします。
国立精神・神経医療研究センター病院
特命副院長/てんかん診療部長/総合てんかんセンター長