大会長挨拶

第25回日本医薬品情報学会総会・学術大会(以下、25JASDI)を令和5年(2023年)6月10日(土)~11日(日)、京都薬科大学に於いて開催させて頂きます。本学会は、医療現場で働く方のみならず、大学関係者、製薬や医薬品流通関連企業の方、行政担当者など、医薬品情報学に関心を持つ様々な立場の人に支えられ、今回、第25回という記念すべき大きな節目を迎えることができました。

アナログ社会からデジタル社会へ、ビフォーコロナからアフターコロナへと、令和維新とも呼べるような歴史的転換点の今、我が国は労働人口の減少や限界集落の増加、深刻な気候変動など解決困難な問題を数多く抱えています。持続可能な開発目標(SDGs)への取り組みを抜きにして、国や社会、医療の未来はないと言っても過言ではないでしょう。

そこで、25JASDIのテーマは「サステナブルな医療を紡ぐ医薬品情報」とし、「SDGsと利他」を全面に打ち出すことに致しました。大会ポスターの“わらべ地蔵”様は、天台宗京都大原三千院のものです。梅雨時の三千院は、閑静な庭を深緑に輝く苔が覆い、色とりどりな紫陽花が咲き誇ります。そして、“わらべ地蔵”様が所々から顔を見せ、寄り添う心、思いやる心、支え合う心、即ち利他の姿勢の大切さをそっと教えてくれます。

今大会の基本コンセプトは次の4つです。
 1) 利他を醸成し、人に寄り添い、支え合い、助け合う大切さを共有する
 2) 薬剤師の生命線である医薬品情報学の深奥に触れて頂く
 3) とっておきの京都を満喫して頂く
 4) 患者さんの意思決定に参画する覚悟と決断力を磨いて頂く

これらの基本コンセプトに基づき、25JASDIがすべての薬剤師のプラットホームとなるよう、招待講演、特別講演、特別企画2枠、ハンズオンセミナー2枠、教育講演6枠、ベーシックレクチャー9枠、シンポジウム15枠は、教育から臨床、研究に至るまで幅広いテーマで構成しました。昨今、学び直しやリスキリングの重要性をよく耳にします。ベーシックレクチャーはそのきっかけとする企画です。

また、25JASDIは4年ぶりとなる現地開催です。古都京都で知己を得て頂くという本来の学会の醍醐味を満喫して頂きたいと存じます。一方で、現地参加が難しい皆様にもご視聴頂けるよう、1年前からDIリテラシー向上WEBセミナー(カウントダウンセミナー)を開催して参りました。開催期間のプログラムの多くもオンデマンド配信し、全国の皆様に知識のアップデートを図って頂きます。

さらに、メディカルセミナー8枠、サステナビリティセミナー7枠、展示27枠、広告など、25JASDIは数多くの企業、団体様の協賛・協力も得ております。

私は、社会課題の解決策の一つに、「つながり」の強化があると考えています。25JASDIが単に知の発掘を楽しむ場となるだけでなく、辛い立場の人を誰一人取り残さないため、また医療資源の乏しい地域を取り残さないために一人ひとりの人脈を広げる場となり、社会課題の解決の一助になりますことを期待しております。

第25回日本医薬品情報学会総会・学術大会 
大会長 四方 敬介 
(京都府立医科大学附属病院 薬剤部長)

第25回日本医薬品情報学会総会・学術大会