第8回日本がんサポーティブケア学会学術集会

会長挨拶

 
齋藤光江

2023年JASCC学術集会
会長 齊藤光江
(順天堂大学医学部乳腺腫瘍学講座 主任教授)

第8回日本がんサポーティブケア学会開催にあたって

国際がんサポーティブケア学会(MASCC)に倣い、JASCCが立ち上がったのは、田村和夫初代理事長先生と、佐伯俊昭現理事長先生、そして相羽恵介先生のご発案とご尽力に拠るものでした。当時、日本癌治療学会の制吐剤適正使用ガイドライン作成委員会メンバーでいらっしゃった3人の先生方は、小職が同委員会の評価委員であったことから、その構想をお聞かせ下さり、わくわくしたのを思い出します。2010年からMASCCの制吐療法のガイドライン改訂メンバーを拝命していた小職は、JASCCにおいてもCINV部会の部会長のお役目を頂き、その後理事を拝命し、2021年のJASCC会長に推薦していただきました。また、MASCCにおいてもワシントンで開催された2019年大会において、是非ともアジアで開催の折には、日本でというロビー活動を行いました。これが叶い、2021年は、横浜でアジア初のMASCC/JASCCを開催する運びとなりました。しかしながら、COVID-19感染拡大があり、予期せぬ2023年への延期となったわけです。また会場予約の都合で開催地を変更せざるを得ず、結果的には奈良という由緒ある地に落ち着いたわけですが、アジア初に相応しい、しかもかつて疫病流行で民衆が苦しんだ時代に、その苦しみから人々を救済することを目的に建立された大仏殿のある古都に会場を見つけることができたことは、何か本大会の持つ意味とこの時期この場所の巡りあわせのようなものを感じずにはおられません。

今回、合同開催とはいえ、JASCC独自の内容として、これまでの伝統である部会中心のポスターセッションやYear in Review、初めての試みである支持医療の専門家を認定する教育セミナー、医工連携をはじめとした医学以外の領域を横断した企画、そしてアジアの仲間と未来の支持医療を考える企画などを堪能していただきたいと思います。テーマは『患者を支えるがん医療の温故知新』です。まさに奈良の地にふさわしい、古く伝統あるものに学び、新しい技術を取り入れる、常に医療が目指してきた姿勢をあらためて問い直し、未来に向けて方向性を定めていく覚悟を決める記念すべき大会になることを目指したいと思います。合同のパートナーであるMASCCとは、プレナリーセッションを協働開催し、また英語発表を希望するe-poster演者をMASCC側の会場でdiscussionの機会を得たり、JASCC部会とMASCCのstudy groupが協働して一般口演のテーマを企画したりと、合同開催ならではの、背中合わせではない、手を取り合った企画も随所に感じて頂けたらと思います。光栄なことに、JASCCが組織委員会としてMASCCを誘致したことを内閣府にお認め頂き、日本学術会議に共催していただく栄誉に浴しました。

さて、まだまだCOVID-19感染症が終息してはいない世の中ですが、2023年が、withコロナだからこそ、人類が英知を結集して、人と人の繋がりを再び確固たるものにできる時代の元年になるよう、その一端を担う覚悟で、本大会の会長を務めさせていただければと存じます。本大会の主旨にご賛同いただける様々な領域、様々なお立場の皆さまのご参加を心よりお待ち申し上げております。

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