ご挨拶
第25回近畿薬剤師学術大会 大会会長挨拶
第25回近畿薬剤師学術大会
大会会長 河上 英治
(一般社団法人 京都府薬剤師会 会長)
この度、第25回近畿薬剤師学術大会を2023年2月4日(土)~5日(日)の2日間、完全Web方式で開催いたします。ライブ配信に加え、会期から1か月程度のオンデマンド配信も予定しています。Withコロナ時代におけるニューノーマルとも言えるWebを駆使した開催となっており、近畿だけではなく、全国の方々に参加をいただくことを期待しております。
3年前から始まった新型コロナウイルス感染症は2022年12月現在においてもオミクロン株の亜系統が出現し、現在は第8波に入ったと言われています。ワクチン接種促進、内服治療剤モルヌピラビル、ニルマトレルビル/リトナビルの上市、そして国産初の内服治療剤エンシトレルビルも上市されました。本剤は、2022年5月に成立した改正薬機法で創設した「緊急承認制度」を初めて適用したもので、これまで承認されている経口薬と異なり、重症化リスク因子を有しない軽症から中等症の患者を対象者に含み、新たな治療薬選択の一つとなることが期待されています。
また、2018年と同様、2府4県の病院薬剤師会の協力による第44回日本病院薬剤師会近畿学術大会と大阪・近畿ブロック薬剤師会の協力により開催される第25回近畿薬剤師学術大会の合同大会として開催されます。テーマは「薬剤師が拓く未来~つなぐ伝統、つむぐ革新、織りなす絆~」。まさに京都府薬剤師会としてそれに沿った内容を準備して皆様をお待ちしております。特に、薬局薬剤師の未来を左右する「リフィル処方箋」、「フォーミュラリ」、「新型コロナウィルスの自宅療養者支援」、「オンライン資格確認」等の公募シンポジウムに加え「SARSCoV-2」に対する医師、薬剤師の孤軍奮闘、行政、製薬企業、医薬品卸の苦労話、また、特別企画シンポジウムとして「進め!薬剤師、地域医療の未来に向けて」を企画しております。どうか、学術大会を思う存分にお楽しみください。
末筆ではありますが、本大会の開催にあたって、準備の先頭に立って頂いている実行委員長の京都第二赤十字病院 薬剤部 部長 友金幹視先生、準備委員会の先生方、そして委員会を支えていただいた(株)コンベンションリンケージのスタッフの方々に心から感謝いたします。
第44回日本病院薬剤師会近畿学術大会 大会会長挨拶
第44回日本病院薬剤師会近畿学術大会
大会会長 四方 敬介
(京都府病院薬剤師会 会長)
第44回日本病院薬剤師会・近畿学術大会は2023年2月4日(土)~5日(日)、5年ぶりの京都開催となります。前回大会に続いて、近畿薬剤師学術大会と合同で開催することと致しました。前回は、医療水準の向上や画期的新薬の登場、医療費の高騰、在院日数の短縮、少子超高齢社会の進展といった近未来を想像しながら、薬剤師が地域医療をどのように支えていくのかを討議しました。
ところが僅か5年間で、私たちを取り巻く環境は一変しました。薬機法や薬剤師法の改正、病院薬剤師不足と地域偏在、働き方改革とタスクシフト、製薬企業の行政処分と医薬品の供給不足、頻発する自然災害、新型コロナウイルス感染症の蔓延、デジタル改革の進展など、社会は変動性に溢れ、不確実性に富み、複雑性や曖昧性が増し、未来を予測することが一段と困難になったように感じます。
私たちは今、未来への分岐点の真っ只中にいるのかもしれません。変化に対応できる種のみが生き残るというダーウィンの進化論のとおり、Society5.0の時代に向けて私たちは躊躇なく変化すべき時代を生きているのではないでしょうか。そのため今回の学術大会も、新しい運営の在り方を模索する好機と捉え、完全オンライン形式に絞って可能性を追求して参りました。
大会テーマは、「薬剤師が拓く未来~つなぐ伝統、つむぐ革新、織りなす絆~」と致しました。人、地域、社会、未来をつなぐのは「人」であり、デジタル技術は手段に過ぎません。今回の大会では、倫理・道徳が世界の価値観の中心になる時代において、「人」をどのように育て、遺していくかについて考えます。
また、大会ポスターには、能を採用させて頂きました。この独創的な装束は、コシノジュンコさんデザインによるものです。世界最古の伝統芸能である能でさえ、時代に合わせた革新に挑戦しています。能には関心がなくとも、「初心忘るべからず」という世阿弥の言葉を知らない方はおられないでしょう。
「是非の初心忘るべからず。時々の初心忘るべからず。老後の初心忘るべからず。」
世阿弥は3つの初心に触れ、人というのはいつまでも未熟なものであるから、いくつになっても学び直しなさいと説いています。大会テーマである「薬剤師が拓く未来」は、初心と学び直しの先にあると思います。職能の向上を生涯にわたり追及すべきという世阿弥の教えを心に刻み、今回の大会が世代や地域、職能を超え、持続可能な医療や社会を一緒に考える一助になりますことを祈念し、開催のご挨拶とさせて頂きます。