- 第41回日本血栓止血学会学術集会
会 長 和田 英夫
(地方独立行政法人三重県立総合医療センター/
三重大学大学院連携講座)
血栓止血学は、病理、生理、生化、分子病態、薬理、免疫ならびに微生物学などの広い分野での基礎研究を基盤に発展してきました。また、対象患者は、血液内科に止まらず、内科、外科、産婦人科、救命救急ならびに整形外科など多くの領域にまたがり、広く抗血栓薬あるいは止血治療薬が使用されています。このように、血栓止血学に対する需要は研究、臨床ともに増える一方ですが、臓器別診療の余波を受けて血栓止血を標榜する医師は減少傾向にあります。そこで、日本血栓止血学会は、血栓止血学を広めて止血異常症患者を診療する医師を増やして応援するために、日本血栓止血学会認定医制度を設けました。血栓止血認定医制度開始に当たる年に、第41回日本血栓止血学会学術集会の学会長を拝命し運営を任されたことは、大変光栄であるとともに大きな責任を感じています。
本学会のテーマは「実践しよう血栓止血学」とさせていただき、多くの実践的血栓止血学の講演・シンポジウムを用意しました。学会長シンポジウムでは、「血栓止血診療でエポックメイキングとなった治療や検査」を特集しました。ジョイントシンポジウムでは、日本救急医学会と「DIC」、日本小児血液・がん学会と「血友病と特発血栓症」、日本静脈学会と「静脈血栓塞栓症」、日本検査血液学会と「臨床検査」について、臨床に直結する最近の話題を提供していただきます。特別講演では、Pasi先生に血友病の遺伝子治療の臨床応用が近づいていることを、Toh先生にDICならびに臓器障害の発症機序に最近注目されているNETsやヒストンなどが関与することをお話しいただきます。伝統的に続いているスポンサードシンポジウムでは、ハイレベル、学際的、ベーシックあるいは専門に特化したお話を聞けると期待しています。
三重県は松阪牛を代表にお肉が大変有名ですが、「美し国」伊勢志摩のキャッチフレーズどおり、伊勢湾でとれる沢山の魚介類も新鮮でとても美味しいと評判です。肉はコレステロールを増加させ、魚介類はEPAが高いことから、血栓症や出血のリスクが高くなる恐れがあり、三重県は血栓止血研究の最適地であると言われています。また、三重県の酒米は山田錦をはじめ高級米が多くあり、伊勢志摩サミットで話題になった銘酒も沢山揃っております。是非、勉強の合間には三重県の美味しいものを堪能され、伊勢神宮を参拝してリフレッシュしていただき、さらに血栓止血学に関する白熱した議論が展開されることを祈願しています。