会長挨拶

第62回日本小児血液・がん学会学術集会
会長 菊田 敦
(福島県立医科大学 小児腫瘍内科)

菊田 敦

 2020年11月20日(金)~12月18日(金)に第62回日本小児血液・がん学会学術集会をWEB開催させて頂きます。

 本学術集会のテーマは「かなえよう みんなの夢、Building Everyone's Dream」です。
標準治療が導入され、多くの小児血液、がん患者が治る時代になりましたが、それでも再発し、難治性となる患者や、 治癒しても多くの合併症を抱えながら生活していかなければならない患者がいることも事実です。
このような患者、家族、治療に携わる医療者の夢や思いが少しでも形にできるよう、国内外の新しい取り組みと成果を発表して頂き、 共に議論し、考える機会となり、福島の復興にも繋がることを期待しております。

 特に、ゲノム医療、免疫療法の次の展開、福島に於ける放射線問題、小児・AYA(思春期若年成人)世代のがん患者の長期フォローアップ体制、 妊孕性温存、高校生を含む学習支援など医療だけでなく、患者・家族支援に立った学術集会を目指しております。

 皆様の意見交換の場、発表の場として実りある学術集会となるよう鋭意準備してまいりましたが、現状の新型コロナウイルス感染禍の中、皆さまの安全を第一と考えWEB開催とさせて頂きます。
現地開催とは異なり秋の福島を楽しんで頂くことはできませんが、心に残る学術集会となるよう努めて参りたいと存じます。

 多くの皆様の学術集会参加を心より期待しております。



第18回日本小児がん看護学会学術集会
会長 古橋 知子
(福島県立医科大学 看護学部)

古橋 知子

 第18回日本小児がん看護学会学術集会は、2020年11月20(金)から22日(日)にかけて福島県郡山市の「ビッグパレットふくしま」において、日本小児血液・がん学会およびがんの子どもを守る会と共同開催の予定で準備してまいりました。しかし、2020年初頭に始まった新型コロナウイルス(COVID-19)感染症によるパンデミックにより、WEB開催(一部オンラインライブ配信・オンデマンド配信)とすることを決断いたしました。オンラインライブ配信のプログラムは、予定通りの2020年11月21日(土)・22日(日)に開催いたします。一般演題は全て事前に登録して頂き、学術集会開催から4週間Web閲覧できるように致しました。

 集学的治療の進歩などによって、小児がんの生存率は目覚ましく改善しました。それは、これまでにがんと闘った多くの子どもたちからの「知」の蓄積と活用あってこその成果であります。長期的な視点を持ちながらQuality of Life;QOLへ配慮する必要性が増す今、日々の看護実践を的確に評価し、また内省を通じて自らの学びを促し,すぐさま実践へと活かしていくことが求められます。そこで、今年度の学術集会テーマは「受け継ぐ命 紡ぐ明日」といたしました。

 特別講演は、「死から生をみつめる-緩和ケア病棟での活動から―」と題して、東北大学病院緩和医療科の臨床宗教師 金田諦晃先生にご講演いただきます。ケア検討委員会ワークショップ「子ども・家族中心ケアを考えよう~日々の実践の中で子どもと家族の声を聴いていますか~」と、学術交流セミナー「エビデンスと集合知に学ぶ~中心静脈カテーテル管理の実践例~」を合わせたこれら3つのセッションは、すべてリアルタイム配信のみです。どうぞこの機会を逃さぬようにご参加ください。

 教育講演では、「子どもの権利擁護と主体性を守るために」をテーマに、広く患者・家族の声を聴いてこられた認定NPO法人ささえあい医療人権センターCOMLの山口育子先生にお話をいただきます。子どもの権利擁護についてあらためて考え、意思決定において子どもの意向を大切にするためのヒントをいただきます。看護ミニワークショップでは、「小児がん治療後の認知機能障害・高次脳機能障害」についての理解を深める機会といたします。また、教育委員会セミナー「小児がん治療アップデート」では、造血幹細胞移植前治療薬チオテパ(リサイオ®)をとりあげます。

 看護シンポジウムでは、「ICTを活用した子どもおよび家族のQOL向上のための環境づくり」をテーマに、4名のシンポジストの取り組みをご紹介いただきます。二学会合同シンポジウムでは、「居住地を離れて治療を受ける」ことに焦点を当て、その際のニーズや支援についての率直な意見交換の機会といたします。

 多数のみなさまにご参加いただき、WEB開催という初めての試みを、一緒に盛り上げてくださいますようお願いいたします。



第25回公益財団法人がんの子どもを守る会公開シンポジウム
理事長 山下公輔
(公益財団法人 がんの子どもを守る会)

山下公輔

 新型コロナウィルス感染拡大の下、本年の「日本小児血液・がん学会学術集会」/「日本小児がん看護学会学術集会」が、これまでに例のないon-line開催という形式で開催されることとなりました。それに伴い、長年に亘り両学会の学術集会に加わらせていただき開催しております私たち公益財団法人 がんの子どもを守る会公開シンポジウムも同様にon-lineで開催させていただくことになりました。新型コロナウィルス禍により直接・間接のご負担の増えている中でのon-line学術集会開催を実現していただいた、両会長並びに関係の皆様のご尽力に感謝申し上げます。

 第25回の本年は、「造血細胞移植後の生活」のテーマで、本学術集会会長の菊田先生と日本小児がん看護学会理事長の上別府先生に共同座長をお願願いし、医師、移植コーディネーター、ソーシャルワーカー、小児がん経験者そして家族と、幅広い立場の5名の方々を演者としてお迎えし開催いたします。

 治る病となりつつある小児がんの治療手法の中でも、難治な症例に対する効果的な治療法の一つとして造血細胞移植がありますが、治療時の負担だけでなく治癒後の晩期合併症に悩ませられる例も少なくありません。移植により治癒した後の生活について考える本シンポジウムは、移植を経験された方やこれから移植を受けられる方とその家族の方々、そして移植医療を支えていただく医療関係者の皆様それぞれの立場での問題意識や思いを共有する有意義な機会になるものと確信しております。On-line開催という不慣れな形式ではありますが、是非多くの方々にご参加いただきたいと思っております。

 このように、公開シンポジウムは開催できることとなりましたが、例年学会の会場をお借りして開催しています、「小児がんの子どもたちの絵画展」、「チャリティウォーク」、「関連団体紹介コーナー」など、当会のその他の催しは、残念ながら本年は中止せざるを得ないこととなりました。なお、例年特設コーナーを設けて掲示させていただいている、当会の助成による「治療研究成果報告」は、両学会のポスター掲示と同様にon-lineで閲覧出来るようになりましたので、是非ご高覧ください。

 特殊な形での開催となりました本年度の学術集会ではありますが、学術的な発信・伝達という意味では、本公開シンポジウムも含めそれなりの成果は上げられるのではないか、或いはon-line配信により、時間的・地理的制約が外れむしろ通常より多くの方々の参加が可能になるというメリットもあるのではないかとも期待しております。

 しかしながら、患児・家族の集まりある当会にとりましては、毎年両学会学術集会に参加させていただきプログラムの末端に加えさせていただくという事は、単に情報の受発信だけでなく、両学会会員の医師・看護師その他の皆様と三日間に亘り場を共有させていだき、小児がん医療の輪のリンクの一つとしての自らの存在を再認識する大変重要な機会でもあり、本年郡山の地に参集することがかなわないという事は、私たちにとって失うものは大きいと感じております。

 しかしながら、このような異例な形での学術集会・公開シンポジウムの開催をマイナスとしてだけとらえるのではなく、新たな試みの可能性を探る機会としてとらえることも大切であろうと考えております。来年秋には、大阪の地で従来の集会形式での学術集会や公開シンポジウムが、旧来の踏襲だけでは無く本年の経験を踏まえた新しい要素を加えた形で実現できることを祈っております。


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