第80回日本公衆衛生学会総会

ご挨拶

第80回日本公衆衛生学会総会
学会長  小林 廉毅
東京大学 大学院医学系研究科 公衆衛生学 教授

第80回日本公衆衛生学会総会を2021年12月21日(火)から23日(木)にかけて、東京で開催するにあたり、学会員の皆様に歓迎のご挨拶を申し上げます。

まず初めに、新型コロナウイルス感染症という新たな健康危機に際して、公衆衛生の現場で奮闘されている皆様、さらに、流行状況や検体等の分析、種々の対策立案、関係機関の調整、物資・器材調達などで尽力されている皆様に、心より敬意を表したいと存じます。本総会が開催される本年末までに事態の収束、あるいは収束への道筋がついていることを願っています。

新型コロナにまさに象徴されるように、近年、わが国は新たな健康問題や環境リスクに直面しています。急速に進行する少子高齢化、突発的な新興・再興感染症やバイオテロの発生、大規模災害、労働現場における過労死・自殺等の問題、健康の社会格差、児童虐待、グローバル化の中で進む環境汚染や食品安全に関わる問題などです。このような様々な健康問題への的確かつ迅速な対応は喫緊の課題であり、公衆衛生人材の確保と養成がますます重要となっています。本総会がそのような人材の確保と養成の場として、また、すでに現場に従事する方々の経験と知恵を交換しあうスキル向上の場として役立てばさいわいです。

さて、本総会のメインテーマは「社会の組織的な取り組みと協働で人々の健康をまもる」とさせていただきました。社会の組織的な取り組みは、感染症対策や生活習慣病対策などにおいてきわめて重要なフレームワークをなすものです。また、協働という言葉はこれまでの総会のメインテーマでも繰り返し使われてきましたが、今回も公衆衛生活動に相応しい言葉として取りあげました。協働や連帯の概念は、グローバルな開発目標SDGsの1つでもあるユニバーサルヘルスカバレッジ(UHC)につながるものであり、健康をまもるインフラストラクチャー構築にあたって必須の要件です。本総会では、社会の組織的取り組みや、協働、連帯につながるプログラムを企画していきたいと考えています。同時にこのメインテーマにかかわらず、広く公衆衛生に関連した実践報告や研究報告が数多くなされることを期待しています。

開催地の東京は、江戸時代以降の歴史的な名所旧跡や、明治・大正・昭和の文豪ゆかりの地、特色ある文化施設が数多くあり、総会以外の場でも有意義な時間を過ごすことができるものと思います。コロナ禍のなか、参加者の安全確保と感染拡大防止に十分配慮して開催できるよう努めていきますが、場合によってはオンライン開催等の併用となる可能性もあります。ご不便をかけることがあるかもしれませんが、何卒ご了解いただければと存じます。

皆様の本総会への参加を心よりお待ち申し上げています。