第127回日本産科麻酔学会学術集会
会長　狩谷 伸享
兵庫医科大学麻酔科学・疼痛制御科学講座

来る2023年12月2日（土）千里ライフサイエンスセンター（大阪府豊中市）、３日（日）兵庫医科大学（兵庫県西宮市）において、第127回日本産科麻酔学会学術集会を開催させていただくことになりました。

本学会は、我が国における無痛分娩の研究・啓発を目的として昭和36年に設立された「無痛分娩研究会」を母体とし、平成6年に「分娩と麻酔研究会」と改称して無痛分娩のみならず周産期における麻酔上の諸問題を対象に広げました。平成20年に「日本産科麻酔学会」となり、現在は会員数も1226名を数えるに至っております。(2022年9月現在）

日本の妊産婦死亡率は世界最高水準まで低下するなど、日本の周産期医療が世界最高の水準にあります。さらに高い周産期医療のレベルを目指すためには産科麻酔も常に高い水準を維持しなければいけません。無痛分娩が広がりつつある本邦で、安全で質の高い産科麻酔を提供するために第127回を迎える本学術集会は社会的にも大きな責務を担っております。

本学術集会のテーマは、「寄り添う産科麻酔」です。無痛分娩の選択の機会が広がって多様なお産の形態がある中、妊婦さんと赤ちゃんの立場に立って「寄り添う」産科麻酔を見つめなおすきっかけにしたいと考えております。本学術集会は麻酔科医、産婦人科医、助産師、看護師の本多職種の参加者が交流することで妊婦さんと赤ちゃんの立場に立って考える機会になるでしょう。多様な価値観に共感しながら、産科麻酔を学ぶ機会にしたいと考えています。

今回は千里ライフサイエンスセンターでディスカッションを中心とした企画と若い方に学会発表していただく場をご提供させていただきたいと考えております。また教育講演は産科麻酔全体を教科書のように学んでいただくように動画配信(産科麻酔20minスピーチ、レジェンドEpiduralシリーズなど)を充実させたいと思っています。兵庫医科大学会場ではJCIMELSの母体救命コースを中心としたシミュレーションを企画しています。

みなさまとも「寄り添う」産科麻酔の時間を共有させていたき、より良い産科麻酔を創っていけましたら幸甚です。

末筆ながら、みなさまの益々のご繁栄を祈念いたしております。

謹白
2023年1月吉日