第44回日本頭頸部癌学会
会長西村 恭昌
(近畿大学医学部 放射線医学教室 放射線腫瘍学部門 教授)
さて第44回日本頭頸部癌学会は2020年(令和2年)6月5日(金)から6日(土)の2日間、大阪国際会議場で開催する予定で準備を進めてきました。しかしながら、新型コロナウイルスの世界的流行の影響を受け、2020年7月17日(金)から7月27日(月)の11日間Web開催にて実施することとなりました。参加者の皆様に直接お会いできないのは大変残念ですが、Web開催ではすべてのシンポジウム、演題を見ることができるという利点もあります。また、Web開催にあたり、現在新型コロナウイルスと最前線で闘っておられる国立国際医療センター、忽那賢志先生に特別講演をして頂けることになりました。日常診療にも役に立つお話が聞けるものと思いますので、ぜひ聴講ください。慣れないWeb開催で、ご迷惑をおかけすることもあろうかと存じますが、なにとぞご理解のほどお願い申し上げます。
本学術大会のメインテーマは、「機能と形態の温存」と致しました。「機能と形態の温存」は頭頸部癌の治療において最も留意すべき点で、また放射線治療の得意とするところです。頭頸部外科、形成外科、歯科口腔外科の先生方にとっても、単に治癒率の向上だけを目指す時代ではなく、低侵襲手術、機能温存手術での治療が必要になっています。化学療法や免疫療法も大きく進歩し、機能と形態の温存に大きな役割を果たしています。私の専門である放射線治療も進歩し、とくに強度変調放射線治療(IMRT)は、頭頸部癌患者の治療成績とQOLを大きく改善しました。このような機能と形態の温存を目指した各種治療法の最新の成果を、頭頸部癌治療の原点に戻って討議できればと考えています。
第44回学術大会では、40歳以下の若手会員を対象にシンポジウム「under 40 session」を公募しました。多数の演題が応募され、その中から抄録を厳正に評価し、6演題を優秀演題賞として選択、表彰しました。素晴らしい演題ばかりですのでぜひ「under 40 session」をご覧ください。
新型コロナウイルスの蔓延で世の中の生活様式は大きく変わってしまいましたが、皆様の記憶に残る学会となることを心から祈っています。多数の皆様のご参加をお待ちしております。最後になりましたが、本学会を担当させて頂いたことは私にとっても近畿大学関係者にとっても大変に名誉なことであり、役員ならびに会員の皆様に心より感謝いたします。
2020年(令和2年)5月