第37回日本老年泌尿器科学会

ご挨拶

第37回日本老年泌尿器科学会

会長 原 勲

(和歌山県立医科大学泌尿器科 教授)

この度2024年5月17日(金)〜18日(土)の2日間、和歌山城ホールで第37回日本老年泌尿器科学会を開催させていただくことになりました。伝統ある本学会を開催させていただくことは大変栄誉なことであり、教室員一同、会員の皆様に厚く御礼申し上げます。

この度の学会のメインテーマは「Diversity in Geriatric Urology」とさせていただきました。老年泌尿器科においては、3つの多様性、すなわち、職種・疾患・患者の多様性が重要と考えました。本学会では主に高齢者の排泄に関して多職種横断的に取り組んで来られその成果として「排尿自立指導料」などの成果を挙げて来られました。これはまさに職種を超えた多様性の成果であります。さらに近年の学会では従来の排尿に加え高齢者に対するがん治療も取り上げられてきています。また、当講座では伝統的に尿路結石に関する研究・診療に積極的に取り組んできており、高齢者に対するがん治療や結石治療も重要な課題であることを実感しています。これは疾患に関する多様性であると考えています。さらに3つめは患者さんにおける多様性です。患者さんそれぞれの身体および精神機能は高齢になるに従い個人差が広がってきます。歴年齢だけではその人のもつパフォーマンスを判断することはできません。また同じような身体および精神機能の方でもその人の生活様式や信条は異なります。これからはそれぞれの患者さんの状況に応じた医療が求められると思います。こうした種々の多様性(ダイバーシティ)に柔軟に対応することで医療はより普遍的なものへと進化していく(グローバル化)のだと思います。

本学会では患者さんの多様性に応じた治療と言った観点でシンポジウムを企画してみました。診療ガイドラインでは標準的な患者さんに推奨される標準治療が大きなテーマとなります。例えば転移を有しない筋層浸潤性膀胱癌では膀胱全摘除術が標準治療となります。しかし実臨床ではそのような患者さんばかりではありません。標準治療がフィットしないようなバルネラブルやフレイルの患者さんをどの様に線引きするのか?そしてこうした患者さんに対して我々医療者はどのような医療を提供できるのかに関していくつかの分野で考えてみたいと思います。

新型コロナウイルスも季節性インフルエンザと同様感染症法上の5類に分類されるようになりました。オンラインでのコミュニケーションは利便性と言った点で我々に重要な教訓を残してくれました。その一方、対面でコミュニケーションする重要性も痛感できたと思います。学会は学術上だけでの興味だけではなく、開催地での風土や食事、名産品等に触れていただくことも学会の重要な要素だと思っています。和歌山は若干不便なところではありますが、温暖で食べ物も美味しいところです。精一杯のおもてなしの心で教室員一同、皆様の来和をお待ちしております。

先頭に戻る