会長挨拶
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- 第26回日本心不全学会学術集会
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会長 斎藤 能彦
地方独立行政法人奈良県立病院機構奈良県西和医療センター 総長
/奈良県立医科大学 名誉教授
第26回日本心不全学会学術集会を、2022年10月21日(金)から23日(日)まで、3日間にわたり、古都奈良、奈良県コンベンションセンターで開催させていただきます。私にとりましても教室にとりましても大変光栄なことであり、過去の素晴らしい学術集会を考えますと身のひきしまる思いです。新型コロナ感染症はいまだに終息の気配を見せておりません。コロナは色々なものに対する常識を大きく覆しました。学会運営は言うに及ばず、医療全体も大きく変化していくと思います。我々人類は、この大きな試練を乗り越え、新しい常識を築いて行く必要があります。その想いを込めて2022年秋には3年ぶりの対面で開催できることを祈りつつ、Webとのハイブリッドタイプで準備をして参りたいと思います。
ご存知のように心不全は国民の高齢化に伴い有病率が増加し、その対策が喫緊の課題であります。2019年に循環器病対策基本法が施行され、2020年には厚労省から循環器病対策推進基本計画が発表されておりますが、心不全は、当然循環器病対策基本法でもその対象疾病として重要な疾病であることは周知の事実であります。
最近の心不全医療の進歩は目覚ましいものがあります。第一には、心不全の治療薬の新たなエビデンスが相次いで発表され、2021年に入り、我が国を初め欧米でガイドラインのアップデート版が発表されております。また、心不全に対する、そして心不全と関係深いStructure Heart Diseaseに対するデバイス治療もずいぶん市民権を得てまいりました。また、周辺技術として、ゲノム医療、新しいバイオマーカー、人工知能、ビッグデータ、遠隔医療等の進歩も目覚ましいものがあります。一方、最先端の技術もさることながら、心不全医療には多職種によるチーム医療や心臓リハビリ、緩和ケアなど、人として暖かい心かよう治療・ケアの必要性が益々増してきております。このような現状を考え、第26回心不全学会のテーマを「知と心かよわすその先へ ~人々の幸福を求めて〜(The Pursuit of Happiness: Beyond Harmonization of Science and Humanity)」といたしました。このテーマには、心不全との今後の取り組み方を考える上で、人類の幸福の追及を第一義とし、未だに発症・重症化機序が不明な点も多い心不全に、生命科学と人間性豊かな社会科学の双方の要素を加味することの必要性を関係者全員で議論し、この学術集会がより良い明日の心不全医療に繋がることへの期待を込めております。
2022年秋、古都奈良に皆様をお迎えすることができますことを心より祈念しております。コロナ禍の中、皆様のご健康をお祈り申し上げます。