ご挨拶

中島 祐子(広島大学大学院 運動器超音波医学 准教授)
第33回日本整形外科超音波学会
会長
中島 祐子
広島大学大学院 運動器超音波医学
准教授

このたび第33回日本整形外科超音波学会を2022年7月23日、24日の2日間、広島駅北の広島コンベンションホール(広テレビル)にて開催させていただきます。平成元年に始まった伝統ある本学会の学術集会会長を務めさせていただけること、誠に光栄に存じます。
現在、整形外科における超音波診療の分野では、次々と新しい知見が生まれており、非常にHOTな分野です。そしてこの分野を引っ張っていく優秀な人材も多く誕生しています。そこで、本学会のテーマを「百花繚乱—今、史上最高の学びどき—」とさせていただきました。運動器の診療に携わる人であれば、どんな立場の人が参加しても、必ず学ぶものがある学会を目指しています。ポスターには版画家“棟方志功”の「門世の柵(安於母利妃の柵)」を使わせていただきました。棟方志功は、私が本学会の会長を拝命した年に他界した父が好きだった版画家です。白黒で表現された素敵な作品が超音波画像とも重なり、さらにその中でも棟方美人図の傑作のひとつであるこの作品には四方に東西南北と書かれており、世界へ開ける門だとされていることに感銘を受けました。
ご存知の通り、整形外科診療に超音波検査は必要不可欠であり、従来の単純X線のみを使用した診療スタイルにパラダイムシフトが起こりました。リアルタイムに得られる莫大な軟部組織の情報から、より詳細な病態の把握を可能とし、より適切で安全確実な治療も行うことができます。しかしまだまだ発展途上であり、新たな超音波解剖の理解、動的評価、血流評価、質的評価、さらには超音波ガイド下のインターベンションや手術、そして近年ではリハビリテーションへの応用、AI、VRなど、興味ある話題はつきません。基礎から応用まで、海外からこの分野で世界を引っ張る講師を招いた招待講演、他領域の話題も含む教育研修講演、シンポジウム、パネルディスカッション、ランチョンセミナー、さらには多くのハンズオンセミナーなどを企画する予定です。
そして本学会では、フードロス削減への試み、お子様連れの方の参加への配慮、協賛企業との一体感など、女性目線からも新しい取り組みにチャレンジしてみたいと思っています。COVID-19の影響により学びの形も大きく変わりましたが、2022年には現地で人と人とのつながりを肌で感じられる機会が得られることを願い、準備を進めて参ります。加えて、様々な理由で広島に足を運べない方達にも、この学びが届くよう、オンデマンド配信も予定しております。
超音波診療の面白さにのめり込み、私の人生は大きく変わりました。まさに“見えるからわかる、わかるからできる”という言葉そのものであり、子育てをしながらの仕事に自信がなかった私に再び診療の楽しさを教えてくれました。そして一生大切にしたい多くの人との出会いをくれました。
運動器超音波医学の発展のため全力を尽くし、本学会を通して平和都市広島からその魅力を発信していきたいと思います。スタッフ一同力を合わせて“ワクワクする学会”を準備し、皆さんのお越しを心からお待ちしております。

中島 祐子