ご挨拶
- 会長 岡村 吉隆
和歌山県立医科大学
このたび、第23回の日本冠動脈外科学会学術大会を和歌山にて開催させていただくことをとても光栄に存じます。
私は、本学会の前身である冠動脈外科研究会の頃から参加するようになり、日本冠動脈外科学会となってからは毎年参加しています。今やわが国の冠動脈外科のレベルは世界トップクラスと言っても過言ではありませんが、本学会が大きな役割を果たしてきたと考えます。心臓外科の多くの領域を対象にした学会は少なくありませんが、冠動脈外科だけで二日間勉強できる学会は諸外国にも少なく、毎年の全国集計など貴重な情報が得られる有意義な学会です。本学会は、International Coronary Congress(ICC)のco-sponsorになっていますし、2020年12月にはICC、本学会、日本冠疾患学会の3学会が連携して東京でCoronary weekを開催する企画も進んでいます。
私が卒後臨床研修を開始した1978年当時は、心臓手術と言えばリウマチ性心臓弁膜症全盛の時代でした。心筋保護法は十分には確立されておらず、長時間心停止例では術後のLOSが問題でした。周術期管理に用いる薬剤も限られ、IABPはまだ普及しておらず、術後管理のために、長時間の時間外労働など当たり前の時代でした。1980年に現職の首相がAMIで急逝された時、CABGを受けておられたら救命できたかもしれないと論議されたことを思い出します。その頃から、わが国のCABG件数は増加しました。私は、卒後10年目に、本学会の名誉会員である竹内靖夫先生に出会い、冠動脈外科の手ほどきを受け、先生の得意とされた小児の川崎病のCABGでは助手として多くの経験をさせていただきました。1992年には術者として独り立ちできるようになりましたが、その後の20年間、OPCAB、各種動脈グラフト、Aorta no touch technique、左室形成術など冠動脈外科の進歩を身近に体験できたことをとても嬉しく思います。
本学術集会のテーマは、Creation, Advancement, Sophisticationとしました。日本語では、創造、前進、洗練となりますが、Coronary artery surgeryの頭文字であるCASと同じにしたものです。
プログラムは準備中ですが、外国からの招待講演演者として、イタリアのDi Giammarco先生と、Cleveland ClinicのF. Bakaeen先生の他にアジアの先生を数名お呼びする予定です。
本学術集会翌日には、隣接する和歌山県民文化会館にて天理よろづ相談所病院の山中一朗先生のもとに第23回日本AHVS/OPCAB研究会が開催される予定です。
第22回の学術集会が、小林順二郎会長のもとで盛会裏に開催されました。2年連続して関西地区での開催になりますが、是非、和歌山に足をお運びいただくことを願っています。