第54回日本嫌気性菌感染症学会総会・学術集会

会長挨拶

第54回日本嫌気性菌感染症学会総会・学術集会

会長 迎  寛

長崎大学大学院医歯薬学総合研究科呼吸器内科学分野(第二内科)

 このたび、第54回日本嫌気性菌感染症学会総会・学術集会会長を拝命いたしました長崎大学大学院 医歯薬学総合研究科呼吸器内科学分野(第二内科)の迎でございます。伝統ある本学会総会・学術集会を担当させて頂くことを、大変光栄に存じますとともに、三鴨廣繁理事長をはじめ、役員および会員の諸先生に厚く御礼申し上げます。

 今回の学会は、長崎市で行われますが、長崎は江戸時代に出島を通して海外の品物や情報に加え、海外からの輸入感染症が最初に入ってきた町であり、感染症に対する意識が伝統的に高く、それが現在まで脈々と続いております。この西洋医学発祥の地、長崎で、伝統ある本学会の会長を務めさせていただくことを大変光栄に思っております。

 今回の学会のテーマは、「嫌気性菌感染症の多様性〜共生を超えて〜」にさせて頂きました。新型コロナウイルス感染症の世界的流行から既に4年以上経過し、社会がパンデミック以前の状態に戻りつつあります。パンデミックの間は非常に大変でしたが、新規ワクチンや診断法・治療法の開発など多くの科学的進歩がありました。特にPCR法の普及によってウイルス感染症の重要性がますます理解されるようになってきました。ウイルス感染症では細菌との混合感染などが重症化に関与しているといわれております。また、日本では超高齢社会の到来により、誤嚥性肺炎による死亡者数の増加がみられます。 我々はPCR法を用いた網羅的細菌叢解析という手法を使って市中肺炎や誤嚥性肺炎で嫌気性菌が重要であることを報告してきましたが、一緒くたに嫌気性菌といってもその菌種によって大きく異なる病態を呈することがわかってきました。ますます、感染症における嫌気性菌の重要性が高まるとともに、明らかにすべき研究材料がとても多いと考えております。

 港町である長崎は、美味しい海の幸に溢れていますし、伝統的な町並み、観光名所に加え、新幹線開通や長崎駅周辺の開発等も進んでおりますので、是非足を運んでいただければと思います。かつて、シーボルトが開いた鳴滝塾のように、本学会を通して、新しい時代の嫌気性菌感染症診療について先生方と大いに議論させていただければと思います。長崎の地で皆様を心よりお待ちしております。

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