第32回日本門脈圧亢進症学会総会
会長 吉治 仁志
(奈良県立医科大学 消化器・代謝内科 教授)
第32回日本門脈圧亢進症学会総会
会長 吉治 仁志
(奈良県立医科大学 消化器・代謝内科 教授)
このたび第32回日本門脈圧亢進症学会総会を2025年(令和7年)9月11日(木)・12日(金)に奈良市の春日野国際フォーラム 甍IRAKAで開催させていただくこととなりました。半世紀以上の57年前になる昭和43年に始まった本学会の源流となる門脈外科研究会・食道静脈瘤硬化療法研究会を含めて奈良での開催は初めてとなります。
今回のテーマは「門脈圧亢進症診療の未来予想図」としました。近年、門脈圧亢進症疾患を取り巻く環境は大きなパラダイムシフトが生じています。門脈圧亢進症の主疾患である肝硬変においても、主な成因がこれまでの肝炎ウイルスから生活習慣に基づくアルコールや脂肪肝などの非ウイルス性疾患に代わりました。両者では脾機能亢進や血行動態を含め門脈圧亢進症の観点から見ても様々な差違があることが知られており、病態を正確に理解したマネジメントが要求されることになります。孔子による論語の「温故知新」はよく知られています。本学会を築いて来られた先人達のこれまでの偉業を覧みつつ、新しい門脈圧亢進症の未来を考え・創ることを目指して、邪馬台国が存在したとされる日本最古の都である倭の国・奈良から発信したいと考えています。
COVID-19により本学会を含めて多くの学会が完全WEBなどでの開催を余儀なくされました。データを視聴するだけであれば、移動の必要もなく若い先生方からは「このままずっとWEB開催で良い」という意見も聞かれます。しかし、個人的には、学会の目的の1つとして「直接対面で討論を行う」ことは非常に重要な要素であると考えています。WEB画面では1つのテーマに関して「意見を重ねてぶつけあう」ことは難しく、セッション後の会場付近での個人的な議論や相談から次への共同研究が生まれることもあります。また、懇親会などで学問の場とは違う先生方の素顔に接し、人間関係が広がることも多々あります。2026年には門脈圧亢進症のグローバル基準とされるBaveno VIIIが開催されます。前回2021年のBaveno VIIから日本も参画するようになりましたが、我が国の門脈圧亢進症に対する先進的な診療手技が反映されているとは言いがたく、本学会での議論を通してBaveno VIIIに向けた日本のコンセンサスを醸成したいと考えています。是非各々の施設における最新のデータを積極的に発表して活発な議論の俎上に載せ、最古の都から世界へ発信する足がかりとして頂ければ幸いです。
会場は野生の鹿 (古来から奈良では鹿は神の使者と考えられています) が集まる奈良公園、若草山の麓にあり、先生方には奈良らしく「能舞台」などで日頃の成果を発表して頂きます。徒歩圏内に東大寺、興福寺、春日大社、飛火野など観光名所も多く薬師寺や唐招提寺も30分以内で移動可能ですので学会後に古都散策も楽しんで頂ければ幸いです。奈良市へは京都、大阪から近鉄電車で約30分、伊丹空港から直通高速バスで約60分でお越し頂けます。
日本における最初の都であった奈良から新時代における未来へ向けた発信ができるよう多数の演題応募および学術集会への参加を心よりお待ちしております。
2024年8月吉日