学術大会長賞

学術大会長賞(専攻医)

伊豆倉 遥 先生
安房地域医療センター総合診療科・亀田ファミリークリニック館山 家庭医診療科

 まずはじめに学会運営事務局の皆様、この度は通常とは異なる大会開催にご尽力くださりありがとうございました。形を変えてでも大会が開催されましたこと、大変ありがたく思いました。

 そのような貴重な学術大会において、学術大会長賞という身に余る賞をいただき、大変光栄に存じます。グリーフケアの発表が戦後75年、広島における学術大会で受賞出来たことも何かのご縁を感じました。

 家庭医の診療において、遺族と出会う機会はよくあることだと思います。お看取りをした患者さんの家族はその日から遺族になりますし、心身の不調を訴える患者さんは大切な人を亡くしたことがきっかけかもしれません。故人に会いたくても会えない、どうしようもない悲しみを抱えてしまう遺族もいます。誰しもに起こる出来事だからこそ、家庭医として「ゆりかごから墓場」のその先の世界に寄り添うことが大切なのではないでしょうか。

 そのような想いから、「家庭医がグリーフケアを学ぶことの意義」について質的研究に取り組みました。質的研究への挑戦は初めてのことでしたが、共同研究者の先生方に多くのご指導をいただき、ひとつの成果にすることが出来ました。専攻医の関心事にいつでも適切で丁寧な指導をしてくださる先生方と、応援をしてくれる仲間がいるこの環境はとても貴重なものなのだと再認識しました。この場をお借りし、お礼を申し上げたいと思います。ありがとうございました。

 今世界ではコロナにより死者は増え続け、日本では突然の災害で多くの死者が報道される日々です。そこにはどれだけの遺族がいて、どれだけの想いがあるのかと思うと途方に暮れてしまいますが、医師として日常的に起こる悲嘆へのケアを考え続けていきたいです。

 この発表をきっかけに、ひとりでも多くのプライマリ・ケア医にグリーフケアへの関心を持っていただけたら、これ以上の喜びはありません。この度は本当にありがとうございました。