シンポジウム 2
3月26日[金]11:15-12:45
Atrial functional MRをどう治療するか?
機能性MRは、左室機能低下に伴って生じる僧帽弁テザリングによるMRと、主に心房細動例で左房拡大とそれに伴う弁輪拡大を主因とするMR(Atrial functional MR)とに大きく分けられ、両者は機序や予後の点で大きく異なる。しかし従来の欧米ガイドラインでは、これらを区別して記載しておらず、機能性MRの治療指針は主に左室機能低下に伴うMRに関するものであった。2020年改訂の日本循環器学会の弁膜症治療ガイドラインでは、この2つの機能性MRは明確に分類して記載された。しかし、Atrial functional MRに関するエビデンスは乏しく、また心房細動に対する薬物治療やアブレーションなどと併せて治療法を決める必要があり、これらに対する推奨をフローチャートで示すには至らなかった。MR、とりわけ左室機能低下に伴う機能性MRに対しては、その低侵襲性から、MitraClipが広く施行されているが、Atrial functional MRは、三尖弁逆流を伴うことも多く、いわゆるDual valve diseaseとして認識するべきとの考え方もある。外科的治療とMitraClipの適応症例の選択、外科治療における術式(左房縫縮やMaze手術も含めて)などのストラテジーについても未だ定まっていない。このセッションでは、薬物治療、アブレーション、外科的治療、MitraClipなどの治療方針決定における重要な知見となる研究を議論し、今後の診療に役立てたい。
柴田 利彦
大阪市立大学
心臓血管外科
泉 知里
国立循環器病研究センター
心臓血管内科
岡田 厚
国立循環器病研究センター
心臓血管内科
西野 峻
宮崎市郡医師会病院
心臓病センター
循環器内科
向井 靖
福岡赤十字病院
循環器内科
松本 崇
仙台厚生病院
循環器内科
齋藤 千紘
東京女子医科大学
循環器内科学
高橋 洋介
大阪市立大学
心臓血管外科