Plenary Session 4
3月26日[金]16:20-17:50
大動脈解離の新しい知見
大動脈解離(AD)は突然に発症し、かつ致死率の高い重篤な急性循環器疾患の一つである。特に、急性ADにおいては、患者救命のため、円滑な患者搬送・収容、迅速な診断、適切な治療の重要性が叫ばれているが、ADの発症メカ二ズムを含め診療実態において未だ不明な点が多い。一つの解析策として、欧米の主要施設を中心に国際レジストリ(IRAD)が組織され、この20年、多くの知見が報告されてきたが、AD発症頻度の差をはじめ、本邦の実情とは異なる部分も多く、IRADの報告をそのまま本邦の診療に適合させるわけにはいかない。一方、本邦においても急性ADの全国規模レジストリ(JRAD)や東京都のレジストリが存在し複数の報告がなされているが、急性・慢性ADに特化した全国レベルの実情に迫る調査・研究が必要である。他方、急性ADに対する診療において、発症機転につながる画像(血流)解析や血管内視鏡所見が明らかとなりつつあり、治療においても、B型解離に対する大動脈ステントグラフト内挿術(TEVAR)を中心とする血管内治療の進歩により治療選択の幅も広がってきている。慢性ADに対しては、B型だけではなく、A型の残存解離に対するTEVARの適応も増加傾向にある。本セッションでは、急性・慢性ADを対象に、発症機転、画像診断、急性期・慢性期治療などの新たな知見について、さらなる診療レベルの改善をめざし議論したい。
荻野 均
東京医科大学
心臓血管外科
吉野 秀朗
野村病院/杏林大学
循環器内科
青木 浩樹
久留米大学
循環器病研究所
陽川 孝樹
神戸大学
呼吸循環器外科学
疋田 浩之
横須賀共済病院
循環器センター
圷 宏一
川崎幸病院
川崎大動脈センター
関根 鉄朗
日本医科大学
武蔵小杉病院
放射線科
小松 誠
大阪暁明館病院
心臓血管病センター
西 宏之
大阪急性期・総合医療センター
心臓血管外科