第39回日本エイズ学会学術集会・総会

主催者挨拶

第39回日本エイズ学会学術集会・総会

会長 吉村 和久

(東京都健康安全研究センター所⾧)

第39回日本エイズ学会学術集会・総会を2025年12月5日(金)から7日(日)の3日間、熊本市・熊本城ホールにおいて開催いたします。2019年の第33回以来、6年ぶり5回目の熊本での開催となります。

日本エイズ学会学術集会・総会は、第1回開催より一貫してエイズ/HIV-1感染症に関して臨床・基礎・社会のそれぞれの立場からの研究発表を行う場であり続けてまいりました。治療薬がまだ乏しい頃は、新規薬剤をいち早く入手するためにはどうすればよいか、副作用が出たときはどう対処すればよいかなど、処方する側とされる側からの双方向の活発な議論の場でもありました。治療薬の開発が進み、効果が高く副作用が少ないだけでなく、一日一回一錠の処方が普通になると、ライフスタイルに合わせた治療薬の選択等も可能となりました。感染していても、ウイルスを抑制できていれば、普通に生活することに関しては以前に比べると随分ハードルが下がったといえるでしょう。

しかし、HIVがエイズの原因ウイルスと分かってから今日まで、未だ積み残した課題があるのも事実です。例えば、抗HIV薬を生涯飲み続けないといけない(根治薬がない)こと、診断時にエイズ発症の感染者がいまだに多いこと、治療効果の判断の目安が血中ウイルス量とCD4数だけしかないことなどです。一方で、新たな治療法の広がりとPrEP等の予防投薬だけでなく、ワクチンの替わりにLong actingの注射薬が試されているなど、治療だけでなく予防に関しても新たな方向性がどんどん打ち出されています。しかし、このようなHIV感染症を取り巻く状況の変化に、検査の質も量も種類も追いついていないことを危惧しているのは私だけでしょうか。

基礎、臨床、社会の様々な場面でキーとなる「検査」にもっと目を向ける必要があるのではないかという思いが、今回の学会のテーマの出発点になっています。もう一度、それぞれの分野においてHIVに関する検査について皆で考えてみませんかという意味合いを込めて、学会のテーマを『HIV検査再考~HIV Testing Revisited~』といたしました。治療開始、変更、中断の指標、ワクチンや新薬の効果判定、PrEPの開始・継続の是非、その他関連疾患の指標等々、HIV感染症に関係する様々な検査について、この機会に皆様に「再考」していただき、「最高」の学会にしていただけたらと願っております。

是非、熊本で開催される本学会にご参加いただき、寒さを吹き飛ばす熱い議論を戦わせていただくと同時に、魅力満載の冬の熊本を目と舌で楽しんでいただけましたら幸いです。

2025年の冬、火の国にて皆様のお越しをお待ちしております。

先頭に戻る